2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北 潔 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90134444)
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Keywords | 感染症 / 酵素 / 進化 / 発現制御 / 発生・分化 |
Research Abstract |
我々は回虫やトリパノソーマなどの寄生虫と宿主であるヒトのミトコンドリアを用いて酸素適応機構の解明を目的として研究を進めているが、中でも嫌気的な小腸に生息する回虫成虫で見出したNADH-フマル酸還元系は多くの寄生虫に存在し、宿主体内の環境で中心的な役割を果している事が明らかになった。この系は複合体I(NADH-ユビキノン還元酵素)、ロドキノンおよび複合体II(ロドキノール-フマル酸還元酵素:RQFR)の3成分から構成され、NADHからフマル酸への電子伝達を触媒している。その生理的意義は無酸素下でも複合体Iの共役部位を駆動する事によりATPを合成できる点にある。一方、発生に酸素を必要とする幼虫では哺乳類型の酸化的リン酸化によってATPを合成している事も判ってきた。そこで本研究ではNADH-フマル酸還元系の分子構築とその生理機能の特徴を明らかにし、生活環におけるダイナミックな呼吸系の変動の制御機構を解析する目的で研究を進めている。平成18年度は以下の結果を得た。 1)受精卵、幼虫および成虫における複数の多様な複合体IIの分子構築と電子伝達機能:平成18年度は結晶化条件がほぼ確立しつつある成虫酵素に関し、高解像度の結晶解析を試みた。界面活性剤や可溶化条件、また沈澱剤を検討した結果、2.7Åの解像度を与える結晶を得た。 2)キノン類と呼吸酵素の特異的相互作用:成虫複合体IIの特異的阻害剤であるアトペニンとフルトラニルの結合部位がキノン結合部位の近傍である事が明らかになった。 3)宿主体内移行を含む、全生活環におけるミトコンドリア機能の変動とその調節機構:好気下の受精卵の第3期幼虫までの発生において複合体IIのサブユニット組成が大きく変化する事が判った。
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