2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北 潔 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (90134444)
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Keywords | 感染症 / 酵素 / 進化 / 発現制御 / 発生・分化 |
Research Abstract |
我々は回虫やトリパノソーマなどの寄生虫と宿主であるヒトのミトコンドリアを用いて酸素適応機構の解明を目的として研究を進めているが、中でも嫌気的な小腸に生息する回虫成虫で見出したNADH-フマル酸還元系は多くの寄生虫に存在し、宿主体内の環境で中心的な役割を果している事が明らかになった。この系は複合体I(NADH-ユビキノン還元酵素)、ロドキノンおよび複合体II(ロドキノールーフマル酸還元酵素:RQFR)の3成分から構成され、NADHからフマル酸への電子伝達を触媒している。その生理的意義は無酸素下でも複合体Iの共役部位を駆動する事によりATPを合成できる点にある。一方、発生に酸素を必要とする幼虫では哺乳類型の酸化的リン酸化によってATPを合成している事も判ってきた。そこで本研究ではNADH-フマル酸還元系の分子構築とその生理機能の特徴を明らかにし、生活環におけるダイナミックな呼吸系の変動の制御機構を解析する目的で研究を進めている。平成19年度は以下の結果を得た。 1.受精卵、幼虫および成虫における複数の多様な複合体IIの分子構築と電子伝達機能:結晶化条件が確立した成虫酵素に関し、阻害剤との共結晶解析を試みた。その結果、アトペニンおよびフルトラニルがロドキノン結合部位に結合している事が明らかになった。また、低濃度で阻害するアトペニンは多くの水素結合を示し、特異性の高いフルトラニルは回虫特異的結合部位を形成している事が判った。 2.宿主体内移行を含む、全生活環におけるミトコンドリア機能の変動とその調節機構:実験的宿主として,ウサギに感染幼虫包蔵卵を経口摂取させ、体内移行中の複合体IIのサブユニット組成および酵素としての性質の変動を調べた結果、肺のステージでは、キメラ型の存在を示唆する結果が得られた。
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