2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60115615)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / DNAウイルス / ウイルス遺伝子機能 / ウイルス病原性 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(HSV)は少なくとも74種の遺伝子をコードする。本研究は、アクセサリー遺伝子の機能解析を通して、HSVの増殖、病原性発現の分子機構を明らかにすることを目的とする。1.UL14遺伝子産物は分子シャペロン機能をもつテグメント蛋白質であることを明らかにしてきたが、UL14欠損HSV-1(UL14Δ)を用いて増殖における役割についてさらに検討した。その結果、UL14は感染直後に生じる主要テグメント蛋白質VP-16(α-trans-inducingfactor)の核内移行を著しく促進させること、また細胞内に侵入したカプシドの核表面への輸送にも影響を与えることが明らかになった。2.HSV-1感染細胞では、宿主の熱ショック蛋白質(hsp)が集積して核内に顕粒状のVICE(virus-inducedchaperon-enriched)fociと呼ばれる構造体が形成される。我々は、UL14遺伝子産物が感染後期にVICEfociに集積すること、UL14Δ感染細胞ではVICE fociの形成が減少することを見出した。3.UL11遺伝子産物はN末がミリストイル化、パルミトイル化を受ける膜蛋白質でエンベロープ獲得過程に重要な役割を果たす。このUL11と、2種の膜結合テグメント蛋白質、UL56(C末端アンカー型typeII膜蛋白質)とUL51(N端がパルミトイル化される膜蛋白質で粒子の成熟過程に重要)との結合について検討した。この結果、UL11とUL56は感染後期に複合体を形成するが、UL51とは相互作用が認められないことがわかった。4.マウス鼻腔感染系を用いてUL56欠損ウイルス(UL56Δ)の中枢神経侵襲性について検討した。その結果、UL56Δは親株と異なり、三叉神経節経路では中枢に達するにも関わらず、嗅神経経路では嗅球の僧帽細胞にも達しないことがわかった。
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