2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60115615)
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Keywords | DNAウイルス / 単純ヘルペスウイルス / ウイルス遺伝子機能 / ウイルス病原性 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(HSV)は少なくとも74種の遺伝子をコードする。本研究はHSVの増殖、病原性発現におけるHSV遺伝子産物の機能、役割を明らかにすることを目的とする。これはワクチン、ウイルスベクター、抗ウイルス剤の開発にも有用である。 UL14はすべてのヘルペスウイルスがホモログを有するコア遺伝子の一つであり、分子シャペロン様機能、抗アポトーシス活性をもつこと、侵入直後のヌクレオカプシド、及び主要テグメントタンパク質VP16の核への輸送に重要な役割を果たしている。また、アミノ酸残基を置換したUL14変異ウイルス14(P3)、14(K51M)を作製し、UL14完全欠損(14D)及び復帰ウイルスと種々の性状について比較した結果、UL14が感染後期におけるVP16の動態にも影響を与えること、HSV粒子の成熟過程にも関与していることを明らかにした。UL56はウイルス粒子に取り込まれるC末端アンカー型type II膜蛋白質であり、神経特異的キネシンKIF1A、ユビキチンリガーゼNedd4、及びウイルス粒子の成熟・放出に重要なUL11と相互作用する。さらに、Nedd4-GFP発現細胞において、野生株、UL56欠損株(dUL56Z)、復帰株(dUL56Zr)を感染させリアルタイムイメージングにて動態を観察した。その結果、UL56がNedd4の局在性に著しい影響を与えることが明確に示された。US3はアポトーシス抑制、カプシドの核外輸送、細胞骨格系制御、免疫機構からの回避など多面的な作用をもつ。また、HSV-1およびHSV-2の野生株およびUS3欠損株感染マウスを用いて、様々な組織におけるアポトーシス誘導の有無について改めて総合的な評価を行った。その結果、US3の有無にかかわらずアポトーシスが強く誘導される細胞群(組織)があることが判明した。
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