2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (60115615)
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Keywords | DNAウイルス / 単純ヘルペスウイルス / ウイルス遺伝子機能 / ウイルス病原性 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(HSV)は少なくとも74種の遺伝子をコードする。本研究はHSVの増殖、病原性発現におけるHSV遺伝子産物の機能、役割を明らかにするとともに、増殖・病原性発現に関与する新たな宿主因子の同定、役割の解明を目的とする。 1.UL21遺伝子を欠損したHSV-1変異株を作製しその性状解析を行った。Vero細胞では野生株とUL21遺伝子欠損株に顕著な差は見られなかった。一方、ヒトグリオーマ由来A172細胞では、UL21遺伝子欠損株感染により、アクチンからなる細胞表面の微獣毛様の突起が増加し、感染細胞の核近傍に中間径フィラメントのひとつであるGFAPの集積が認められた。また、A172細胞ではUL21の有無がウイルス糖蛋白質の動態に影響を与えることが明らかになった。 2.UL14の感染後期における機能およびUL14タンパクの機能部位の同定を目的とし、UL14欠損株およびUL14アミノ酸置換変異株の感染後期におけるVP16を含むウイルスタンパクと宿主因子の挙動の変化の詳細な解析をおこなった。UL14D-およびUL14 (3P)-VP16GFP株は、野生株より6時間ほど早く細胞の形態が球状に変化し、感染12時間後にはVP16GFPとHsp70が核近傍に集積し、その周囲にvimentin cageが形成された。一方、核内のカプシド(VP5)およびICP8の分布は野生型と同じであった。核近傍の集積体は、aggresomeと考えられ、VP16の適切な細胞内局在の過程にUL14が関与していることが示唆された。 以上に加えて、HSV増殖に関与する新たな宿主細胞因子としてINSM1, Tankyrase 1を同定した。ともにICPOの発現制御、分布と密接に関わっていることが示唆された。
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