2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光山 正雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)
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Keywords | 細胞内寄生菌 / 抗酸菌 / リステリア菌 / 結核菌 / マクロファージ / 病原性 / エスケープ機構 / 細胞性免疫 |
Research Abstract |
代表的細胞内寄生菌であるリステリア菌と抗酸菌の代表である結核菌を用いて、その増殖と病原性および宿主免疫応答誘導に関わる因子の解析を行った。リステリア菌の主要病原因子であるLLOタンパクの機能について、以下の知見が新たに得られた。(1)LLOが示す細胞膜傷害による菌のエスケープを可能にする因子としての機能発現には、食胞でのpH低下が必須であるが、従来考えられていたような酸性環境での活性化に基づくのではなく、アルカリ域での不可逆的失活によるものであり、第4ドメインがそれを担う。(2)LLOによるTh1サイトカインの誘導には、LLOが食胞膜を傷害しエスケープした菌から産生されるLLOのN末端50アミノ酸の構造に基づく、カスパーゼ活性化が重要で、それによってIL-18の成熟がおこり、IFN-γ産生が起こる。LLOに類似した病原因子タンパクILOを産生するリステリア菌種では、ILOのN末端にその活性がないため、IL-18の成熟やIFN-γ誘導を起こさず、そのためにTh1型防御免疫を誘導させることができない。(3)結核菌の病原因子であるMcelを発現させた大腸菌を肺胞上皮系細胞に感染させるとみられるケモカイン誘導は、Mcelタンパク自身によるものではなく、Mcelを介した菌体と宿主細胞の接着亢進によるケモカイン産生の促進である。(4)病原性の異なる結核菌株を用い、一部のカスパーゼ活性化により感染宿主細胞のネクローシスを抑制する活性が病原株にあり、ミトコンドリア膜傷害が関与する可能性が示された。広く知られているアポトーシス抑制とは全く別の機構で宿主細胞の死滅を防ぐ新たな機構の存在が示唆され、このような活性を示す病原菌株特有の因子の同定を進める必要が生じた
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Research Products
(7 results)