2006 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染時の樹状細胞による自然免疫系と獲得免疫系の連結機構の解明
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小安 重夫 Keio University, 医学部, 教授 (90153684)
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Keywords | ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 腸管上皮細胞 / PI3K / E-カドヘリン / 記憶細胞 |
Research Abstract |
リステリアの腸管感染を検知する細胞を特定するためのマウスの樹立を行った。リステリアは経口感染時にlnlA遺伝子産物と宿主腸管上皮のE-カドヘリンの結合を介して細胞内へ侵入するが、マウスのカドヘリンはヒトのそれとアミノ酸配列が異なるためにlnAが結合できず、菌は効率良く侵入できない。そこでヒトE-カドヘリンを腸管上皮細胞に発現するトランスジェニックマウスを用いて経口感染系を樹立した。さらにリステリアはInB遺伝子産物を介して宿主細胞のPI3K系を活性化する。リステリア感染における宿主PI3Kの機能を明らかにするためにヒトE-カドヘリントランスジェニックマウスとPI3Kのノックアウトマウスの交配を行い、目的のマウスを得た。また、ヒトE-カドヘリンと結合するInA遺伝子産物のアミノ酸部位が明らかになり、変異を導入することでマウスのE-カドヘリンにも結合が可能になることが明らかになった。そこで、マウスのE-カドヘリンに結合できるInAを持ったリステリア菌株の作成を開始した。この変異株を用いることでより多くのマウスもでるの利用が可能になると期待される。感染後のリステリア特異的記憶細胞の誘導を検討するために、卵白アルブミンを発現するリステリアの感染系を確立し、感度の高いアッセイ系を構築した。また、リステリアの脳内感染系を樹立し、脳内感染の制御にCD4T細胞が重要であること、また末梢のリステリア感染によって形成された記憶細胞が脳内感染においても感染防御能を発揮することを明らかにした。また、この時に炎症を誘導するIL-17が脳内のT細胞によって生産・分泌されることを明らかにした。
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