2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染時の樹状細胞による自然免疫系と獲得免疫系の連結機構の解明
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073015
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小安 重夫 Keio University, 医学部, 教授 (90153684)
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Keywords | 消化管関連リンパ組織 / 上皮細胞 / 樹状細胞 / PI3キナーゼ / リステリア / 免疫記憶 |
Research Abstract |
Listeria monocytogenes(以下リステリア)の腸管感染の成立にはリステリア菌のinlA遺伝子産物と腸管上皮細胞のE-カドヘリンの結合が重要とされ、マウスのE-カドヘリンのアミノ酸配列がヒトのE-カドヘリンのアミノ酸配列と異なるがゆえにマウスにおいては腸管感染が成立しないと考えられてきた。2007年にマウスのE-カドヘリンに結合が可能なInlAの変異が報告されたことから、同様なinlA変異株を作製したが、マウスへの経口感染を行っても著しい変化は見られなかった。また、inlA房欠損株においても感染効率に大きな差は見られなかった。これらの事から、マウスにおいてはInlAは機能しないと結論した。一方、InlBを欠損するリステリアを構築したところ、野生型に比較して10倍から100倍低い感染効率を示したことから、マウスの経口感染系においてはInlBが重要な働きをすることが明らかになった。さらに、リステリア感染によってGr-1弱陽性の単球様細胞が脾臓内に新たに出現するが、InlBの欠損株が感染した場合にこの単球用細胞の数が増大する事を見いだしている。一方、リステリア脳症の新たなモデルを開発し、リステリアの排除にCD4陽性細胞ではなくCD8陽性細胞が重要であり、リステリアに感染したミクログリアをFas-FasL系を介して殺傷することを明らかにした。MHCテトラマーを用いた解析からは、脳内に多数のリステリア特異的なCD8陽性細胞が浸潤することが明らかになった。さらに初期のリステリア防御にはNK細胞が産生するIFN-γが重要である事も見いだした。 また、腹腔内の脂肪組織に存在し、Th2サイトカインを多量に産生する新たなリンパ球を見いだし、ナチュラルヘルルパー細胞と命名した。
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Research Products
(7 results)