2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロナノ加工技術を用いた膜タンパク質機能解明のためのプラットフォーム
Project Area | Innovative nanoscience of supermolecular motor proteins working in biomembranes |
Project/Area Number |
18074001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 昌治 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 准教授 (90343110)
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Keywords | (1)膜タンパク質 / MEMS / マイクロ流体デバイス |
Research Abstract |
本研究の目的は、膜超分子モーターの機能解明の効率化を図る実験プラットフォームを、マイクロ・ナノ加工技術によって確立することである。本年度は、以下の2項目において成果を挙げている。 1.脂質二重膜アレイ:マイクロ・ナノ加工技術を駆使して、脂質二重膜形成のための小孔をマイクロデバイス中に作製し、膜形成に関与する重要な要素(小孔のデザイン、溶液の流速・圧力、脂質分子の濃度など)を詳細に検討した。その結果、平面状の脂質二重膜をデバイス中の小孔に安定して構成する方法がほぼ確立できた。また、形成させた平面状の脂質二重膜を圧力で膨らませて、均一径の脂質二重膜小胞(リポソーム)を生成させることにも成功している。 2.マイクロチャンバー:主に2種類の溶液交換マイクロチャンバーの構築に成功した。1つ目は、アルギン酸カルシウムゲルの表面に形成される高分子化合物(ポリ-L-リジン)膜による、半透膜をベースにした溶液交換チャンバーである。マイクロ流体デバイス中に固定した状態で、作製・観察が可能であり、細胞や生体高分子の観察が容易になると考えられる。2つ目は、リン脂質膜で囲われたマイクロ油中水滴をベースにした溶液交換チャンバーである。マイクロ流路とマイクロサイズの電気配線により、油中水滴を個別に電気的に操作することができる。電気融合と流体力学的な分裂現象を組み合わせることで、自在に油中水滴中の溶液を交換することができた。このデバイスは、様々な溶液条件で生体高分子を観察することを可能にするので、膜超分子モーター等の機能解明の効率化に資する技術になると考えられる。
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