2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子シミュレーションによるF_1_分子モーターの化学-力学エネルギー変換機構の解
Project Area | Innovative nanoscience of supermolecular motor proteins working in biomembranes |
Project/Area Number |
18074004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 重彦 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70402758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池口 満徳 横浜市立大学, 大学院国際総合科学研究科, 準教授 (60261955)
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Keywords | 分子シミュレーション / 分子軌道法 / 分子動力学法 / ハイブリッドQM / MM法 / F1-ATP合成酵素 / 分子モーター / ATP加水分解 / ローダミン蛍光分子 |
Research Abstract |
分子軌道法、ハイブリッドQM/MM法、及び分子動力学法を用いて、F1-ATP合成酵素分子モーターの動作原理解明のためのシミュレーション手法の開発及び実行を行った。まず、F1-ATP合成酵素中のATP加水分解反応のQM/MM計算において、タンパク質環境の熱揺らぎの効果を取り込むために、線形応答理論を用いた自由エネルギー計算の手法を開発した。これにより、熱揺らぎを含んだ自由エネルギー局面上での反応の遷移状態の決定などの反応性解析が可能になった。この手法をコリスメート異性化酵素に適用し、この酵素反応の反応経路を解析することにより、酵素活性の分子機構を調べた。その結果、酵素活性は、主にタンパク質結合部位において基質分子が遷移状態に近いnear attack conformationをとることによる安定化によりもたらされていることを見出した。次に、タンパク質の大域的な構造変化を記述するために、多時間スケール分子動力学法の開発を進めている。この手法では、運動の時間スケールを制御することにより、effectiveに長い時間スケールの現象のシミュレーションを行うことを目指している。現在、テスト計算として、開発された手法をカルモジュリンのカルシウムイオン結合における構造変化に適用している。これまでに、NMR実験で得られている構造変化に類似の構造変化をするトラジェクトリが少ないながらも得られており、さらに確度を確度を上げるべく開発を行っている。さらに、西坂らの一分子観測実験における蛍光分子の角度変化の分子状態をシミュレーションするために、実験で用いられているローダミン類蛍光分子の分子モデリングを行っている。ローダミン分子は、大きく変化しうる内部自由度があり、遷移モーメントの角度の決定に重要となりうる。そこで、内部自由度の変化に対して量子化学計算を行い、そのポテンシャルエネルギー曲線を得た。
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Research Products
(4 results)