2006 Fiscal Year Annual Research Report
イネ細胞質雄性不稔に見られる核とミトコンドリアのゲノム障害
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
18075002
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳥山 欽哉 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (20183882)
|
Keywords | イネ / 生殖 / 細胞質雄性不稔 / ミトコンドリア / ゲノム |
Research Abstract |
イネにおける3種類の細胞質雄性不稔/稔性回復遺伝子(BT-CMS/Rf1,LD-CMS/Rf2,CW-CMS/Rf17)を材料とし、それぞれ、雄性不稔発現機構および稔性回復機構の解明を行なうことを目的とした。 (1)BT-CMSの原因遺伝子と考えられているatp-6とorf79のキメラ遺伝子について、ORF79に対する抗体を用いて、ORF79タンパク質の蓄積を調査した。その結果雄性不稔系統ではORF79が蓄積すること、Rf1が存在するとORF79が蓄積しないことを明らかにし、ORF79がBT-CMSの原因遺伝子であり、Rf1はRNAプロセッシングを通してORF79の翻訳を阻害することを示唆した。 (2)BT-CMSとLD-CMSでatp-6とorf79を比較した。その結果、LD-CMSにもorf79と同様の遺伝子が存在すること、Rf1によってプロセッシングを受けること、L-orf79はRf1あるいはRf2の存在の有無にかかわらず、蓄積しないことを明らかにした。LD-CMSの雄性不稔原因遺伝子がorf79では無い可能性が示唆された。また、Rf2はORF79の蓄積量には変化を与えずに、BT-CMSの稔性を部分回復させた。これよりRf2はBT-CMSにおいてORF79タンパク質がミトコンドリアに蓄積した以降の過程で作用し、たとえばORF79タンパク質の毒性を緩和する作用等などが考えられた。 (3)CW-CMSについて、Agilent社22kのイネオリゴアレイとプロテオーム解析を用いて、葯における核遺伝子発現の網羅的解析を行なった。その結果、AOX遺伝子の発現増加など、核からミトコンドリアへのレトログレードシグナル伝達が葯特異的に起こっていることを見いだした。
|
Research Products
(3 results)