2010 Fiscal Year Annual Research Report
花粉管ガイダンスと重複受精におけるゲノム障壁の鍵因子
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
18075004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東山 哲也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00313205)
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Keywords | 花粉管 / ガイダンス / 誘引物質 / 助細胞 / 重複受精 / ライブイメージング / 受精能獲得 / ゲノム障壁 |
Research Abstract |
シロイヌナズナにおいて、ゲノム上に存在する825個のCRP遺伝子の中から見出したディフェンシン類似の重複遺伝子群(CRP810_1a~1e)について、誘引物質をコードすることを証明した。RNAiにより、CRP810_1が免疫染色で検出されない程度までノックダウンしたところ、複数のラインにおいて、およそ10%程度の胚珠で花粉管の走性異常が見られた。花粉管が珠柄をのぼった後、珠孔になかなか入れず迷走したり、珠孔に入れないような表現型を示した。 胚珠の花粉管誘引能力が低下していることが考えられたので、in vitroで野生型の胚珠と並べて置いた。その結果、ほとんどの花粉管は野生型の胚珠に誘引され、CRP810_1のノックダウンで確かに誘引活性が低下していることが確認された。CRP810_1ペプチドはシロイヌナズナの花粉管特異的に誘引活性を示すことからも、これらが花粉管誘引物質であることが示された。これらを、AtLURE1と名付けた。さらに、近縁種であるA.lyrataのAtLURE1ホモログをデータベース上で見出し、AtLURE1遺伝子とAlLURE1遺伝子は、共通の祖先遺伝子がゲノム上の異なる位置で種特異的に重複したことが示唆された。このような動的な分子進化は、LURE遺伝子がまさにゲノム障壁の鍵因子であることを示唆している。トレニア属近縁種においてもLURE遺伝子の同定に成功しており、複数のLURE遺伝子を操作することで、ゲノム障壁の打破が可能になると考えている。 重複受精の可視化については、前後に並んで発生する2つの精細胞に、受精相手の特異性はないことを示した。花粉管にLURE応答能を与えるAMORについては、レクチンカラムによる精製が有効であることを見出し、同定を進めた。
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Research Products
(34 results)