2007 Fiscal Year Annual Research Report
生殖過程におけるジベレリン生合成と信号伝達に関する分子遺伝学的解析
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
18075006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 信 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (00270992)
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Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ジベレリン(GA)は、茎葉伸長・種子発芽・花粉形成などに関わる植物ホルモンである。これまでのイネGA欠損変異体やGA非感受性変異体の遺伝解析の結果から、GA非感受性変異体の遺伝はメンデルの法則に適合する一方、GA欠損変異体の遺伝浸透性は極めて低く、メンデルの法則に適合しないことを見出した。この原因を明らかにするため、今年度は、半稔性を示す新たなGA欠損と非感受性変異体の2系統を単離し、花粉形成と花粉管伸長について調べた。その結果、GA欠損変異体であるrpel(reduced pollen elongationl)の半稔性の原因は花粉管伸長の異常がその主たる要因である一方、非感受性変異体Slrl-d3は成熟花粉の形成異常が要因であることが解った。さらに各発達段階の野生型の葯を用いてGA生合成遺伝子とシグナル伝達因子の遺伝子について発現解析を行った。その結果、生合成遺伝子は花粉母細胞の減数分裂期以降に強く発現が見られたが、減数分裂期より早い時期では、その発現は殆ど検出できなかった。逆にシグナル伝達因子遺伝子は、減数分裂前の発達ステージで強く発現していた。これらの結果から、GA欠損変異体の配偶体型遺伝様式は、小胞子形成後、小胞子の遺伝子に依存したGA合成が花粉の発芽や伸長に必要である一方、GA受容に関連する遺伝子は減数分裂以前に花粉母細胞に発現し、そのタンパク質産物が減数分裂以降の花粉にも持ち込まれることにより使われることが解った。
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