2008 Fiscal Year Annual Research Report
生殖過程におけるジベレリン生合成と信号伝達に関する分子遺伝学的解析
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
18075006
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 信 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (00270992)
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Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
GAMYBは大麦のアリューロンにおいてジベレリン(GA)応答遺伝子群の発現を制御する転写因子として同定された。これまでの本研究プロジェクトの成果から、イネを用いた解析から、GAMYBが脂肪酸代謝酵素CYP703A3の遺伝子発現を誘導することで、花粉表面のエキシン形成に関与することが明らかにされている。一方、我々はGA受容システムの確立と進化についても研究を進め、GA受容システムは維管束植物の発生後に誕生し、その後、広く高等植物に保存されていることを明らかにしてきた。そこで本年度の研究では、GAMYBの制御によるエキシン形成制御機構も維管束植物間で保存されているかを、小葉類イヌカタヒバ(S. moellendorffii)を用いて検討した。 まず単離したイヌカタヒバのGAMYB(SmGAMYB)とSmCYP703A遺伝子(SmCYP703A)の発現パターンを調べたところ、両者はタペータムと雄性胞子でのみ発現していた。またSmGAMYBがSmCYP703A遺伝子のプロモーター領域にin vitroで結合すること、イネのgamybとcyp703a3変異体を用いた相補性検定の結果から、SmGAMYBとSmCYP703Aがイネと同等の機能を有することを確認した。さらにGA生合成阻害剤を処理した個体ではエキシン形成異常が見られ、且つこの異常がGA処理により回復した。これらの結果は、少なくとも維管束植物の発生後にはGAがエキシン形成過程に関与していたことを示唆している。
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