2009 Fiscal Year Annual Research Report
生殖過程におけるジベレリン生合成と信号伝達に関する分子遺伝学的解析
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
18075006
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松岡 信 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (00270992)
|
Keywords | 遺伝子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
GAMYBは大麦のアリューロンにおいてジベレリン(GA)応答遺伝子群の発現を制御する転写因子として同定された。これまでの本研究プロジェクトの成果から、イネを用いた解析から、GAMYBが脂肪酸代謝酵素CYP703A3の遺伝子発現を誘導することで、花粉表面のエキシン形成に関与することが明らかにされている。一方、我々はGA受容システムの確立と進化についても研究を進め、GA受容システムは維管束植物の発生後に誕生し、その後、広く高等植物に保存されていることを明らかにしてきた。昨年度の研究で、GAMYBの制御によるエキシン形成制御機構が小葉類イヌカタヒバ(S.moellendorffii)においても保存されていることを確認し、従って維管束植物問では、GAのエキシン形成を介する花粉形成が共通的に維持されていることを示した。 先の研究により、GA受容システムは維管束植物(シダ以降)の発生後に誕生したことを明らかにしたが、今年度、高等植物のGAMYBに類似した遺伝子がコケ植物にも存在することを見いだした。GA信号伝達系が存在しないにもかかわらずその制御下で機能するGAMYB類似遺伝子が存在する理由を明らかにするために、ヒメツリガネゴケGAMYB様遺伝子をイネgamyb変異体に導入したところ、その変異形質を部分的に緩和した。さらに、ヒメツリガネゴケGAMYB様遺伝子はイネと同様、コケ内でCYP703遺伝子を正に制御していることを見いだした。これらのことは、コケ植物にはGA受容システムは確立されていないが、その下流で機能するGAMYB及びその標的であるCYP703遺伝子の制御システムは存在していることを示している。
|