2009 Fiscal Year Annual Research Report
イネ生殖過程におけるゲノム障壁遺伝子の単離と機能解析
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
18075009
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
倉田 のり National Institute of Genetics, 系統生物研究センター, 教授 (90178088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 貴彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (00370148)
寺田 理枝 国立遺伝学研究所, 基礎生物学研究所・分子遺伝学研究部門, 助教 (30137799)
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Keywords | ゲノム障壁 / イネ / 生殖的隔離 |
Research Abstract |
本研究課題では、イネ亜種間(ジャポニカ,インディカ間)交雑後代に見られる生殖的隔離障壁の単離と機能解析を行う。生殖的隔離は遺伝子間の相互作用によって引き起こされるため、相互作用遺伝子を一対として単離し、どのステージで「ゲノム障壁」として働くのか、通常の生殖過程ではどのような機能を持つのかなどの解明を行う。これらの研究を通じて、生殖過程の中でゲノム間の遺伝子変異により生じる障壁の構造、機能、進化の実態を明らかにし、植物進化や多様性との関連について解析することを目指す。今年度の成果は、 1. RNAサイレンシングに関わるPAZ-domainタンパクPOC遺伝子の相互作用因子であるPOIについて、His-kinaseタンパクをコードする遺伝子を候補遺伝子として特定し、相補性検定を進めた。 2. 2組目の生殖隔離遺伝子対DPL1(染色体1)とDPL2(染色体6)が機能未知の重複遺伝子であり、花粉の機能に必須であることを明らかにした。またイネにおけるそれらの重複時期と機能欠損の発生時期などの進化の道筋を特定した。DPL1/DPL2は単子葉・双子葉植物で高度に保存されており、他の代表的なモデル植物種においても重複して存在することを見出し、進化解析における本遺伝子の重要性を示唆する結果を得た。 3. 亜種間交雑にみられる雌性配偶子致死は染色体8、9と12に座乗する遺伝子座間相互作用によることがわかっている。その分子機構の解明を目的として、染色体12について候補遺伝子を特定し相補性検定を進めた。また、相互作用因子である染色体8については、160kbの領域に絞り込んだ。 4. 日本晴とKinandang puti間で見出された第1染色体末端で大きな分離歪みを引き起す生殖隔離遺伝子について、関与領域を83kbに特定し、この領域内に大きなゲノム変異があることを明らかにした。
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Research Products
(31 results)