2009 Fiscal Year Annual Research Report
個体生存戦略における匂い・フェロモンセンサーの環境応答機能
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東原 和成 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00280925)
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Keywords | センサー / 匂い / フェロモン / 受容体 / 昆虫 / チャネル / カイコ / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
本研究では、独自の嗅覚システムを進化させた齧歯類と昆虫に着目して、匂いとフェロモンのセンサー機能、センサー間相互作用、センサーを介した情報伝達経路、センサー情報を統合する神経回路網、センサー刺激による行動・内分泌変化などの個体応答を解析して、細胞感覚モジュールとしての嗅覚センサーの分子動態の全貌を明らかにする。本年度は、1)マウスにおいてムスク系香料を認識するセンサーの同定、2)昆虫の化学感覚センサーの分子基盤の解析、3)鼻以外に発現する嗅覚受容体の機能解析を推進した。1)マウスの嗅球において、ムスク系香料のうち大環状ムスクを特異的に認識する嗅覚受容体センサーがあることがわかった。2)昆虫の嗅覚受容体のアミノ酸部位特異的変異導入によりイオン選択性が変化する変異体について、様々なイオン試薬を用いてチャネルポアへの関与を検証し、さらに候補アミノ酸を絞り込んだ。カイコ幼虫はカンフェンの匂いを忌避することがわかり、アフリカツメカエル卵母細胞機能発現系で、カンフェンの受容体を同定することに成功した。さらに、カイコ幼虫に発現する味覚受容体のうちひとつが糖を認識することがわかった。3)鼻以外にでている嗅覚受容体のうち、二つの受容体が、メス生殖器官(卵・露胞液)など様々な組織の抽出物のいくつかに応答することがわかり、現在、その内在性リガンドの同定を目指している。その他に、米国のグループと共同研究で、線虫のダウワーフェロモンのセンサーを発見した。産業的に有用なムスクの香りのセンサーを見つけた事、昆虫化学感覚センサーのメカニズムが解明したことは、特に社会的にも意義のある重要な知見である。
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[Journal Article] Two chemoreceptors mediate the developmental effects of dauer pheromone in C.elegans2009
Author(s)
Kim, K., Sato, K., Shibuya, M., Zeiger, D.M., Butcher, R.A., Ragains, J.R., Clardy, J., Touhara, K., Sengupta, P.
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Journal Title
Science 326
Pages: 994-998
Peer Reviewed
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[Journal Article] Highly selective tuning of a silkworm olfactory receptor to a key mulberry leaf volatile2009
Author(s)
Tanaka, K., Uda, Y., Ono, Y., Nakagawa, T., Suwa, M., Yamaoka, R., Touhara, K.
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Journal Title
Current Biology 19
Pages: 881-890
Peer Reviewed
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