2006 Fiscal Year Annual Research Report
センサー機能のモーダルシフトによる触覚受容の病的変化のメカニズム
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077002
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田邊 勉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70183069)
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Keywords | 分子センサー / 触覚 / 神経因性疼痛 / アロディニア / 痛覚過敏 |
Research Abstract |
本研究の目的は"触→痛"への応答変換に関与するセンサー分子群(伝達物質受容体、チャネル、トランスポーター、リン酸化酵素、脱リン酸化酵素など)の単離と、センサー機能のモーダルシフトによる触覚受容の病的変化のメカニズムを明らかにすることである。本年度は、センサー機能のモーダルシフトを誘導する電位依存性Caチャネルの不活化の影響(BBRC,2006)、チャネル遺伝子への疾患変異導入の及ぼす影響(MCN,2006)、DNAマイクロアレイ解析より得られた候補分子の機能(EJP,2006)の検討を行った。 脊髄標本のDNAマイクロアレイ解析の結果、ニューロステロイド合成系遺伝子の発現上昇が認められた。我々は昨年度グルココルチコイド受容体の働きに関して報告した(EJP,2005)。今年度は"触→痛"への応答変換に及ぼすプロゲステロン受容体およびエストロゲン受容体の影響の有無を明らかにするために、これら受容体に対する作用薬および拮抗薬を神経損傷モデルマウスの髄腔内へ投与することにより行動薬理学的に検討した。その結果、プロゲステロン受容体拮抗薬およびエストロゲン受容体作用薬に"触→痛"への応答変換を阻害する働きがあることが明らかとなった。さらにプロゲステロン受容体拮抗薬とエストロゲン受容体作用薬の同時投与により、相加的に阻害作用が強まることも明らかとなった。 現在、その作用メカニズムを明らかにすることを目的に、神経損傷モデル動物から作製したスライス標本を用いて、プロゲステロン受容体拮抗薬やエストロゲン受容体作用薬の脊髄神経の興奮性に及ぼす影響を電位感受性色素を用いた膜電位変化の測定により解析している。また神経細胞の細胞内Ca濃度上昇に及ぼす影響に関しては細胞内Ca感受性色素を用いたCaイメージング法により検討を行っており、その成果に関しては次年度に報告したい。
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