2010 Fiscal Year Annual Research Report
味覚センサーの空間的、時間的、種間的モーダルシフトによる細胞応答、個体応答の変化
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077004
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二ノ宮 裕三 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (50076048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重村 憲徳 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准教授 (40336079)
吉田 竜介 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (60380705)
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Keywords | 甘味センサー / レプチン / T1R2/T1R3 / 鼓策神経 / 塩味センサー / ENaC / 遺伝子多型 / アミロライド |
Research Abstract |
本研究は、味覚センサーの空間的、時間的、種間的モーダルシフトについて追求するため、1)甘味セルセンサーの、空間的・時間的モーダルシフトとして、レプチンやエンドカンナビノイド受容体との相互作用による感受性変化と相互連関を解析し、種間的モーダルシフトとして、種特異的甘味修飾物質の構造特性を検索する。次に、2)塩味セルセンサーの機能発現動態について、マウス系統差に関与するENaCのアミノ酸変異と塩味応答との連関、さらには味細胞応答とENaCサブユニットの発現特性との連関を検索する。また、3)新たなエネルギーセンサーとして、味細胞における脂肪酸受容体の発現と機能の検索を行う計画で行ってきた。 1)においては、本年度は種間的モーダルシフトを標的にして、マウスに無効でヒトに有効の、酸による甘味誘導タンパク質であるミラクリンの受容体結合サイトをヒト・マウスT1R2/T1R3キメラ体発現HEK細胞を用い検索し、ミラクリンの結合サイトがヒトT1r2であること、その効果はベータデキストリンにより消失すること、細胞内の酸性化も細胞内ヒスチジンサイトを介して影響し、強酸より弱酸の方がより有効であることがわかった。2)は昨年度を持って終了させた。3)については、今年度は、脂肪酸受容体GPR40とGPR120の遺伝子ノックアウトマウスを用い、鼓索・舌咽神経の応答を野生型と比較したところ、GPR120ノックアウトマウスではオレイン酸、リノレン酸、リノレイン酸、DHAの応答が、鼓索・舌咽神経ともに減少したが、GPR40ノックアウトマウスでは、鼓索神経の脂肪酸応答には変化がなく、舌咽神経の応答はGPR120と同様の脂肪酸に加えてラウリン酸の応答も減少し、受容体発現特性と、GPR120とGPR40の受容体の脂肪酸応答特性と一致する結果が得られた。これらの結果から、GPR120とGPR40が味細胞における脂肪酸受容体として機能していることが示唆された。
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