2006 Fiscal Year Annual Research Report
体液Naレベルセンサー/浸透圧センサーの特性と生理機能の解明
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077007
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
檜山 武史 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 助教 (90360338)
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Keywords | セルセンサー / 神経科学 / イオンチャンネル / ナノバイオ / 生体分子 / グリア / 恒常性 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
体液中のNa濃度は厳密に保たれている。しかしながら、様々な環境条件下において、体液のNaレベルが変動することがある。例えば、長時間の脱水は体液中のNa濃度を上昇させる。この時、動物は水分を補給するだけでなく、新たな塩分摂取を回避する。これは、体液中のNa濃度上昇を感知し、行動を制御する機構が存在することを示している。 代表者らは、これまでに、体液中のNa濃度の上昇を検出する体液Naレベルセンサーがナトリウムチャンネル分子Na_xであること、その部位が脳内の感覚性脳室周囲器官(脳弓下器官)であることを明らかにしてきた。しかし、感覚性脳室周囲器官においてNa_xは神経細胞ではなくグリア細胞に発現しており、摂取行動を制御する機構は不明だった。 本研究では、酵母ツー・ハイブリッド法を用いてNa_xの細胞内領域に結合する分子を探索し、Na^+/K^+-ATPaseがNa_xのC末に結合することを明らかにした。また、Naレベルが上昇すると、Na_xを発現するグリア細胞においてグルコースの取り込みが高まり乳酸の放出が高まることを示した。さらに、脳弓下器官の急性スライスを用いた電気生理学的解析から、Naレベル上昇時にNa_x発現グリア細胞から放出される乳酸がGABA作動性神経細胞の発火頻度を増加させる働きを有することが示唆された。 これまでグリア細胞は、神経細胞のサポート役と考えられてきた。しかし脳内の体液Naレベルの検出においては、脇役と思われてきたグリア細胞が主役であり、むしろ神経細胞はグリア細胞によってコントロールされていることがわかった。
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