2009 Fiscal Year Annual Research Report
体液Naレベルセンサー/浸透圧センサーの特性と生理機能の解明
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077007
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
檜山 武史 National Institute for Basic Biology, 統合神経生物学研究部門, 助教 (90360338)
|
Keywords | セルセンサー / 神経科学 / イオンチャンネル / ナノバイオ / 生体分子 |
Research Abstract |
体液NaレベルセンサーNa_xは脱水状態において体液Na^+レベルの上昇を感知し、塩分摂取行動の制御に関わっている。Na_xは脳弓下器官や終板脈管器官に発現するが、それらの部位から抗利尿ホルモン(バソプレッシン)の産生部位である室傍核と視索上核に神経投射がある。バソプレッシンの分泌は脱水時に増加することから、この産生・分泌制御にNa xが関与する可能性を検討した。Na_x遺伝子欠損マウス(Na_x-KO)と野生型マウス(WT)を用いて通常時と絶水後の血中バソプレッシン量、視索上核におけるバソプレッシン産生量を調べたが、いずれにおいてもNa_x-KOとWTの間に差がなかった。視索上核に軸索を投射する脳弓下器官のニューロンを標識し、そのうち脱水状態において活性化した細胞の割合を比較したが、これも差が無かった。両者の尿量にも差がなく、バソプレッシンに差が無いという結果が裏付けられた。以上より、Na_xがバソプレッシンの制御に関わらないことがわかった。 原因不明の本態性高Na血症一症例においてNa_xに対する自己抗体が産生されていることを見出し、その病因の解明を目指して解析した。患者のイムノグロブリン分画を投与したマウスが患者と同様に高Na血症を発症し、その脳のNa_x発現部位では抗体の結合による補体の活性化と細胞死が起きたことが明らかとなり、これが患者の発症機構であることがわかった。さらに、浸透圧センサー分子の同定を目指し、候補分子であるTRPV1及びTRPV4を発現した細胞を用いて特性を解析した。
|