2008 Fiscal Year Annual Research Report
発達/障害によるK-C1共役担体機能制御とGABA応答のモーダルシフト
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077009
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
鍋倉 淳一 National Institute for Physiological Sciences, 発達生理学研究系, 教授 (50237583)
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Keywords | KCC2 / モーダルシフト / GABA / 神経回路 / クロール |
Research Abstract |
神経細胞特異的K-Cl cotransporter(KCC2)は細胞内外のClとK^+を感知し、細胞内Cl濃度の決定の最も重要な分子である。KCC2機能の発達増加にともない細胞内Cl濃度が減少するため、Clチャネルを内蔵するGABAは、未熟期の細胞興奮性作用による神経回路の構築促進から、成熟動物における抑制性シグナル伝達物質としての作用ヘモーダルシフトする。今回、短時間のKCC2機能変化によるGABA受容体機能のダイナミックな変化を理解するには、KCC2のリン酸化および細胞局在とその機能について検討した。GT-1細胞にKCC2を強制発現させると細胞内Cl濃度は低下するが、チロシンリン酸化酵素阻害薬を投与すると細胞内Cl-濃度は可逆的に上昇した。チロシンリン酸化部位置換KCC2(Y1087F、Y1087D)により、細胞内Cl濃度の低下は阻害される。また、KCC2の細胞膜におけるクラスタリングはリン酸化を抑制すると消失した。リン酸化KCC2は細胞膜のflottilin-1含有高コレステロール分画(lipid raft)に存在する。脱燐酸化により同分画から消失するとともに、methyl-・-cyclodextrin投与によるコレステロール減少により、リン酸化KCC2は著明に減少した。チロシンリン酸化部位置換KCC2(Y1087F、Y1087D)により、クラスタリングとその機能が消失した。また、C-terminal deletionによってもその機能は消失した。このため、KCC2はlipid raft分画でリン酸化およびクラスタリングされてCl排出機能を獲得することが示唆される。実際の酸化ストレス障害、機械的細胞傷害や神経回路の過剰興奮時には、細胞内Caイオン上昇に起因する急速な脱燐酸化と機能消失が起こる。その後、時間単位でKCC2蛋白自体の発現消失による更なる細胞内Cl濃度上昇がおこり、GABAは、長期間持続する興奮・脱分極作用を再獲得する。
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