2009 Fiscal Year Annual Research Report
温度センサーTRPチャネルの機能制御機構と生理学的意義の検討
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077012
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
富永 真琴 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90260041)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 |
Research Abstract |
野生型マウスの膀胱上皮細胞で特異的抗体を用いてTRPV4蛋白質の発現が確認されたTRPV4欠損マウスではシグナルは検出できなかった。マウス膀胱上皮細胞の培養系を確立し、TRPV4刺激剤に仁って野生型マウスの膀胱上皮細胞でのみ細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が観察された。シリコン膜上に膀胱上皮細胞を培養して機械伸展刺激を加えたところ、野生型マウスの細胞でのみ有意に大きな細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が観察され、細胞外へのATP放出が検出された、以上のことから、マウス膀胱では、蓄尿による膀胱壁の伸展を膀胱上皮細胞に発現するTRPV4が感知してCa^<2+>を流人させ、ATPを放出してその情報を膀胱壁内の感覚神経に伝達しているものと推定された。 表皮ケラチノサイトには温度感受性TRPチャネルに属するTRPV3, TRPV4が強く発現している。そこで、マウス感覚神経細胞と表皮ケラチノサイトの共培養系を確立させて、ケラチノサイトに40度くらいの温度刺激を加えたところ、ケラチノサイト、神経細胞の両方で細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が観察されたが、感覚神経細胞でいくらか遅かった。これが、ケラチノサイトから感覚神経に情報が伝達されて起こるものと推測し、その情報伝達に関わる物質としてATPを想定してATP阻害薬処理をして実験したところ、感覚神経における細胞内Ca^<2+>濃度の上昇だけが消失した。このATPによるケラチノサイトから感覚神経細胞への情報伝達を証明するために、イオンチャネル型ATP受容体P2X2を強制発現させたHEK細胞をパッチクランプしてケラチノサイトの近くに位置させてケラチノサイトを温度刺激した。すると温度刺激に応じてP2X2に特徴的な電流の活性化が観察された。よって、ケラチノサイトは温度情報を感知してATPを放出して、その温度情報を感覚神経に伝達しているものと考えた。
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