2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜プロトンセンサーの細胞内イオンセンサーとの相互作用による活性制御機構の解明
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077015
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
若林 繁夫 National Cardiovascular Center Research Institute, 循環分子生理部, 部長 (70158583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 裕子 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室長 (80171908)
西谷 友重 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室長 (50393244)
久光 隆 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室員 (50327946)
古林 創史 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 流動研究員 (50511531)
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Keywords | 生理学 / 蛋白質 / 循環器・高血圧 / シグナル伝達 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
(1)活性化型Na^+/H^+交換輸送体(NHE1)を心臓特異的に高発現するトランスジェニック(Tg)マウスの解析。Tgマウスは心肥大を経て心不全になり、心機能の著明な低下をまねき早期に死亡することがわかった。これらの心機能低下は、NHE1の特異的阻害剤カリポライド投与により抑制された。Tgマウスからの単離心筋細胞では生理的にはNa^+濃度上昇に伴って細胞内Ca^<2+>過負荷が起こること、Ca^<2+>濃度上昇に伴って心肥大シグナルであるCaMKII、CaNの活性化、およびそれらの下流のHDAC、NFATシグナル分子が活性化され、心肥大・心不全発症に大きく関与することが判明した。(2)Ca^<2+>センサー蛋白質NCS-1の心臓での機能に関して。心臓でのNCS-1の発現量は幼弱時および心肥大時で上昇しており、また細胞内発現パターンは形質膜、核膜周辺および筋小胞体に集積する。遺伝子改変マウスや遺伝子発現実験を用いた詳しい検討から、Ca^<2+>センサーNCS-1が、形質膜や核膜周辺に存在するイオンチャネルなどの興奮性制御タンパク質との相互作用を介して心筋Ca^<2+>シグナルを調節し、様々な細胞応答、特に心臓の収縮機能、ストレス下における心筋サバイバル、また心肥大の誘発に重要な役割を担っていることが示唆された。(3)NHE1の新規結合タンパク質カルシニュリン(CaN)に関して。NHE1の細胞質ドメインにはCaNによるNFATの脱リン酸化反応に必須の結合モチーフ(PxIxIT)と相同性の高い部分が含まれており、このモチーフが両者の結合に必要であることが判明した。NHE1はマイクロドメインと呼ばれる微小領域に局在し、NHE1の活性化がCaNシグナルを増幅する機構が存在すると考えられた。(4)Ca^<2+>透過チャネルTRPV2は筋ジストロフィーなどの筋変性疾患の際に形質膜に移行し活性化され、筋細胞死を引き起こす過剰なCa^<2+>流入を惹起すると考えられている。今回内在性TRPV2活性を抑制するドミナントネガティブ変異体を高発現したTgマウスを作成することにより、TRPV2の活性化が筋ジスの病態を増悪化させる主要な要因であることが判明した。
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Research Products
(8 results)