2010 Fiscal Year Annual Research Report
膜プロトンセンサーの細胞内イオンセンサーとの相互作用による活性制御機構の解明
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
18077015
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
若林 繁夫 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子生理部, 部長 (70158583)
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Keywords | 生理学 / 蛋白質 / 循環器・高血圧 / シグナル伝達 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
(1)平成21年度までの研究で、Na^+/H^+交換輸送体(NHE1)の活性化が心肥大・心不全を起こすCa^<2+>シグナルを惹起するのに充分であること、またNHE1のホルモンによる活性化は内在性セカンドメッセンジャーDAG(あるいはその強力なアナログphorbol ester)直接結合によって起こることを報告した。22年度は、NHE1新規結合蛋白質として発見した脱リン酸化酵素カルシニューリンとNHE1との相互作用の役割を調べた。その結果、細胞内のCaN活性は、野生型NHE1を発現させた場合に数倍亢進することが判明した。この活性化にはNHE1の輸送活性とCaN結合能の両者が必要であった。これらのことから、NHE1は自身近傍のCaN活性をNHE1活性に応じて制御するという輸送体以外の役割が明らかとなった。(2)Ca^<2+>センサーNCS-1の心臓における生理的・病態的役割について。NCS-1は未成熟心筋に高発現する。今回、NCS-1欠損(KO)マウスを用いた解析により、NCS-1が未成熟期の細胞内Ca^<2+>代謝および心筋収縮の維持に重要な役割を担うことを見出した。そのメカニズムとしてNCS-1は心筋IP_3受容体を活性化し、局所で上昇したCa^<2+>がCaMKIIを活性化することにより細胞全体の興奮-収縮相関を増加させることを明らかにした。またNCS-1は心肥大の際にも発現が上昇し、KO心筋ではホルモン刺激により誘発される心肥大が軽減されることから、心肥大形成過程にも寄与する可能性が得られた。(3)Ca^<2+>透過チャネルTRPV2は筋ジストロフィー・心筋症などの筋変性疾患の際に形質膜に移行し活性化され、筋細胞死を引き起こす過剰なCa^<2+>流入を惹起すると考えられている病態時におけるTRPV2活性を抑制するドミナントネガティブ変異体を導入することにより、筋変性疾患が改善されることが判明した。今年度はTRPV2に対する機能的抗体を含む特異的阻害候補物質の探索と筋変性疾患モデル動物への適応を試みた。TRPV2活性阻害候補化合物は筋変性疾患の病態改善に有効であることが判明した。
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Research Products
(15 results)