2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Multi-level Environmental Governance for Sustainable Development |
Project/Area Number |
18078004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 耕太 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (50263124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯國 芳明 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (40184337)
中西 康博 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60246668)
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
新保 輝幸 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (60274354)
吉田 謙太郎 長崎大学, 環境科学部, 教授 (30344097)
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Keywords | 臨界自然資本 / 環境リスク管理 / 農林漁業 / 共有地の悲劇 / 臨界的現象 / 解の非一意性 / 生態学的知識 / 外来生物法 |
Research Abstract |
理論研究においては、次の3点が課題として残されていた。過少利用の状況を正確に分析するためのモデル構築、自然資本の保全のためのリスク分析の汎用的枠組の探求、自然資本の臨界水準の実証的識別のための理論研究の深化である。これらの課題に対し、野生動物の過少利用が感染病の伝播にもたらす影響の分析や、過少利用を削減する方法についての研究をおこなった。また、高知県柏島等の漁業コモンズ、鹿児島県与論島、フィリピンサンミゲル島MPA等を事例にサンゴの海の持続的利用の問題を検討した。さらに、引き続き臨界水準の性質を調べ、最大平均生産性以上の割引率でもそれが存在する可能性があること等がわかった。 保全政策にかかる実証研究においては、次の3点が課題として残されていた。自然資本保全問題の実証的な類型化、自然資本の保全の望ましい政策、研究者の役割、管理組織の一般化の検討、得られた知見に基づく自然資本の保全原則の定立可能性の探求である。これらの課題に対し、宮古島の地下水湧水地点における水質とCO2濃度を計測する調査により、人為影響による石灰岩溶解とCO_2放出の促進実態を見出した。また、中山間地域における二次的自然の所有権が形骸化の過程を整理し、新しい仕組みづくりを検討した。さらに、熱帯雨林保全のためのシステム設計、クマノイの取引の現状把握と市場取引の可能性の検討も行った。 評価にかかる実証研究においては、次の3点が課題として残されていた。環境評価自身の精度向上、自然資本の定量的評価の実施、環境評価の活用と合意形成のありかたの考察である。これらの課題に対して、兵庫県豊岡市コウノトリ保全の取り組みの経済的評価、サンゴ礁保全のための移植活動の経済的評価について研究を行った。また、資源の希少性の認知に関わる研究において時間及びリスク選好を考慮したモデルの重要性を明らかにした。
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Research Products
(45 results)