2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Multi-level Environmental Governance for Sustainable Development |
Project/Area Number |
18078004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅野 耕太 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (50263124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯國 芳明 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (40184337)
中西 康博 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (60246668)
赤尾 健一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (30211692)
新保 輝幸 高知大学, 教育研究部・総合科学系, 教授 (60274354)
吉田 謙太郎 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (30344097)
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Keywords | 臨界自然資本 / 環境リスク管理 / 農林漁業 / 共有地の悲劇 / 臨界的現象 / 解の非一意性 / 生態学的知識 / 外来生物法 |
Research Abstract |
これまでの成果は2009年11月に刊行した『自然資本の保全と評価』において取りまとめ、そこで今後の課題を抽出したところである。保全政策にかかる実証研究においては次の3点が課題として残された。得られた知見の具体化のための自然資本保全問題の実証的な類型化、自然資本の保全において示された望ましい政策、研究者の役割、管理組織の一般化の検討、得られた知見に基づく自然資本の保全原則の定立可能性の探求である。これらの課題に応えるために、本年度は、産業衰退地域における自然資源管理を所有権の移動の視点から整理するとともに、日本の農業政策を支える多面的機能論を「環境デカップリング」により再編する提案を行った。また、フィリピン・ルソン島南部ビコール地方サンミゲル島MPA等を事例にサンゴの海の持続的利用とその経済評価の問題、及びMPAに関わる重層的ガバナンスの問題を検討した。さらに、経済成長と野生動物利用の関係、肉食獣の再導入による人的死亡リスクの経済評価、ビーバーの再導入に起因した生態系の改変について、実証的な分析をおこなった。残されていた理論的課題については、Critical capital stock(その水準を下回ると資源枯渇が社会的最適となる最大ストック量)の上限について、1.ヘテロクリニック点となることを証明し、2.その位置と消費の限界効用の弾力性との関係を明らかにした。評価にかかる課題については、絶滅危惧種の保護地域において発生した鳥インフルエンザの問題を中心として、正負の生態系サービスの経済的価値と生態系保護のための合意形成に関する研究を実施した。自然資本管理におけるステークホルダー分析の役割を再検討するため、昨年度収集したデータを用いてリスク態度と環境行動に関する計量モデルを作成し、その有効性を明らかにした。
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Research Products
(50 results)