2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Multi-level Environmental Governance for Sustainable Development |
Project/Area Number |
18078006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 幸男 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10091092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 賢 関西大学, 大学院・法務研究科, 教授 (70121887)
坪郷 實 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (20118061)
松下 和夫 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 教授 (20346034)
大山 耕輔 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (40185400)
飯尾 潤 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90241926)
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Keywords | 民主主義 / 公民教育 / 環境法思想 / 多元的ガバナンス / 世代間正義 / 行政とNPO・NGOのパートナーシップ / 将来世代 / 環境政治 |
Research Abstract |
平成19年度における主要な活動は、(1)国際シンポジウム「持続可能な未来のための民主主義」の実施及びシンポジウム・プロシーディング(英文)の作成、(2)台湾の環境ガバナンス研究グループとの台湾での共同研究の実施、(3)自然保護に向けてのローカルなレベルでのNPO-行政の協働についての現地(高知県内数か所)調査、(4)環境ガバナンス・データベースIIの作成、(5)定期的(月に1回程度)な公開研究会の開催、である。 これらの調査・研究により、現段階で以下のことが明らかとなり、今後研究を進めるべき論点が明確になった。(1)ローカルな環境問題の解決のためには一般に専門知だけでなく実践知・現場知(local knowledge)の活用-すなわち、政策決定・実施過程の民主化(住民参加の制度化)-が不可欠であるが、その活用は依然として十分とはいえず、専門研究者やシンクタンクも、また市民運動やNPO/NGOも、政策決定・実施過程への参画は徐々に進展しているとはいえ、いまだ環境ガバナンスの一翼を担う主要なアクターとしての十全な役割を果たし得ない段階にあり、両者をどのような制度のもとでどのように組み合わせて活用すべきかも十分に議論されていない。(2)環境ガバナンスにおいて議会が果たす役割は極めて大きいが、この点での先進国・ドイツやアメリカのいくつかの州などと比べ、わが国では、議会が、ローカルなレベルにおいてもナショナルなレベルにおいても、持続可能な発展に向けて期待される役割を十分に果たしていない。(3)地球環境問題に代表されるような深刻でグローバルな環境問題への迅速かつ適切な対処を可能にする民主主義と、ローカルなレベルの環境ガバナンスが前提とする民主主義との間には重要な差異があると考えられるが、具体的にどこがどう違うのかが理論的にも十分に解明されてはいない。今後は、これらの点を踏まえて、班内ではインテンシブな共同研究を進め、また領域内の他の研究班と成果を共有し、領域全体の推進に貢献していきたい。
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Research Products
(25 results)