2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of optical microscope platform to explore singularity cells
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
18H05409
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邉 朋信 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (00375205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 毅 京都大学, 医学研究科, 教授 (40192603)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 生体深部イメージング / 光音響イメージング / 光シート顕微鏡 / 近赤外蛍光計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シンギュラリティ現象を観察する手段として、(1)非侵襲生理機能イメージング法、および、(2)全細胞動態イメージング技術を開発する。2020年度における研究進捗は以下である。 (1)非侵襲生理機能イメージング法:本年度はOptical Resolution(OR)光音響イメージング顕微鏡の開発を行った。観察対象は,マウスのがん腫瘍,脳神経疾患などの疾患モデル等の組織サンプルとした。ここでは、従来法(リニアステージによる操作)のおよそ50倍まで高速に走査可能な微小電気機械システム(MEMS)技術を応用した電磁駆動式のミラーによる光走査機構を採用した。また、高速走査の制約となる照射パルス光源の繰り返し周波数が、およそ500倍まで照射可能な光源の選定および導入を行った。あわせて、空間分解能を決定する光の照射ビーム径を1 μm弱となる光学系を設計した。これらにより空間分解が昨年度までの装置より40倍のおよそ1 μm程度に向上に、計測時間がおよそ100分の1にまで短縮された。 (2)全細胞動態イメージング技術: 2019年度までに開発した顕微鏡システムを用いて実測を行った。観察対象と目標設定は、これまで成功例の報告が無いマウス5.5日胚10分毎24時間の全単細胞観察とした。まず、マウス胚性幹細胞に対する光損傷と光の照射方法との関連性を調べた。また,培養液の循環効率の向上のため,マウス胚を包埋するコラーゲンゲルを最小量にできるサンプルチャンバーを開発した。最終的に,世界で初めてマウスE5.5胚における単細胞精度での8分毎12時間連続撮像に成功し,これまでに観察されたことのない細胞運動が発見された。本試行では、光損傷が大きいものの最も一般的に用いられているenhanced-GFPを用いたが、より長波長の蛍光タンパク質を用いることで、より長時間の連続撮像が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
像を立体的に捉える顕微鏡として、ライトフィールド顕微鏡の原理を応用した三次元広視野『発光』顕微鏡の開発がほぼ進んでいない。また、2019年度に他研究班が開発した細胞ピックアップ技術を導入する予定であったが、新型コロナ感染拡大の影響により機器の搬入が遅れたことにより、システムの構築が進んでいない。その他については計画通りか、もしくは、若干計画以上に進んでいる。特に、マウス胚着床後5.5日胚を24時間の追跡に成功したことについては、計画以上の進捗である。また、細胞ピックアップ技術の導入については、本年度夏には終了する程度の遅延に留まり、全体として致命的な遅延はない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、二つの技術(非侵襲生理機能イメージング法、および、全細胞動態イメージング技術)を開発してきたが、ここまでほぼ計画通りに進捗している。 (1) 非侵襲生理機能イメージング法:前年度までに構築したAR(Acoustical Resolution)型およびOptical Resolution(OR)型光音響イメージング顕微鏡を用いて小動物の計測を行い、詳細な仕様評価を実施する。実際にマウスのがん腫瘍,脳神経疾患などの疾患モデル等の組織サンプルを計測し、疾患の進行に伴う光音響像の変化から病態変化の検出の可能性の検証を行う予定である。また,領域メンバーで開発中の分子プローブと組み合わせることにより、OR型光音響顕微鏡の到達深度と機能の向上の可能性を検証する予定である。 仕様は分子プローブに依存するので、既存または領域内で開発中の分子プローブを用いた評価を行い、結果をフィードバックする。 (2) 全細胞動態イメージング技術: 2020年度内で開発された顕微鏡システムの汎用化が終了し、領域メンバーが共同利用可能となった。2021年度は、当該顕微鏡システムを用いて、マウス胚着床後5.5日胚による実観測・解析を行い、シンギュラリティ現象の発見を試みる。また、1000nm超蛍光観察技術のレーザーシート顕微鏡への導入、および、実計測を開始する。まず、生体イメージングに実績のあり励起波長774nm/蛍光波長805nmのインドシアニングリーンを用いて、タグによる標識プロトコルを確立し、励起波長774nm/蛍光波長805nmにおける光透過性などの光学的な基礎データを収集する。昨年度に遅延した細胞ピックアップ技術の導入については、本年度初期に各デバイスの設置および統括制御を行う。構造化シート照明については、画像処理方法を再検討したうえで論文として発表する。
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Research Products
(14 results)