2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of optical microscope platform to explore singularity cells
Project Area | Singularity biology |
Project/Area Number |
18H05409
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邉 朋信 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (00375205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 毅 京都大学, 医学研究科, 教授 (40192603)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 生体深部イメージング / 光音響イメージング / 光シート顕微鏡 / 近赤外蛍光計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シンギュラリティ現象を観察する手段として、(1)非侵襲生理機能イメージング法、および、(2)全細胞動態イメージング技術を開発する。2021年度における研究進捗は以下である。 (1) 非侵襲生理機能イメージング法の開発:液体レンズを昨年度までに開発してきたOptical Resolution(OR)型光音響イメージング顕微鏡に搭載し、当該顕微鏡を、励起光の集束とMEMS技術を用いたビーム走査による高速かつ高解像の光音響像を多波長で計測できる装置に拡張した。これにより、本研究領域で用いるAR型およびOR型の光音響顕微鏡システムの一次完成とした。その後、がん腫瘍、脳神経疾患などを対象に、マウス疾患モデル等の組織サンプルを試験対象として、多波長での光音響像のスぺクトル解析等から疾患の病態変化検出の可不可の検証を開始した。 (2)-1全細胞動態イメージング技術の開発:開発してきた新型レーザーシート型顕微鏡システムを用いて、マウス受精後5.5日胚の5分毎24時間連続の全細胞観察を繰り返し実施し、取得された三次元画像データから単細胞の位置や運動速度などの解析を行った。初期胚は成長中に一過的な収縮を行うことが発見され、これらが前後軸形成の力学的信号を生成している可能性が示唆された。当該システムの汎用化(二次開発)も順調に行われた。 (2)-2 上記のーザーシート型顕微鏡システムの改善として、1000nm超蛍光をレーザーシート顕微鏡の開発を行ってきた。昨年度までに、顕微鏡システムの一次開発、および、SNAPタグにより細胞核が蛍光標識可能なトランスジェニックマウスの構築が終了している。本年度は、本領域公募班により開発された近赤外蛍光色素を用いた実試験を行ってきたが、色素の核膜透過性が低い、あるいは、非特異吸着が多い、等の問題が確認された。現在、上記問題解決に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の報告書にも記載したが、上記の二つの技術が有効であると判断しリソースを集中したため、ライトフィールド顕微鏡の原理を応用した三次元広視野『発光』顕微鏡の開発がほぼ進んでいない。本年度後半より、ライトフィールド顕微鏡の開発に着手したが、使用する部品のほとんどが海外製であり、新型コロナ感染拡大の影響による供給連鎖の停滞が未だ解決されておらず、未だ必要な部品が全て揃う見込みが立っていない。一方で、非侵襲生理機能イメージング法、および、全細胞動態イメージング技術の開発については、計画通り、一部は計画以上に進捗している。双方ともに、領域内に対して利用公開しており、公募班との共同研究も数件開始された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、二つの技術(非侵襲生理機能イメージング法、および、全細胞動態イメージング技術)を開発してきたが、ここまで一部を除きぼ計画通りに進捗している。 (1) 非侵襲生理機能イメージング法の開発:基盤開発は終了しているので、実用性向上のための周辺技術の開発、および、引き続き生体試料を用いた実施試験を行う。より具体的には、MEMSビーム走査の安定化、多波長計測での色収差補正のための液体レンズを搭載し、高速な励起光集束およびビーム走査かつ高解像な光音響像を多波長で計測できる装置に拡張する。また、光超音波の分子プローブを用いることで、光音響顕微鏡の到達深度と機能の向上を図る。これらの光音響イメージング顕微鏡を用いて、マウスのモデル実験系を用いて、疾患の進行に伴う光音響像の変化から病態変化が検出できるか検証を行う。さらに、2光子励起蛍光顕微鏡にOR型光音響顕微鏡機能を搭載したマルチモーダル顕微鏡システムを構築し、ファントムおよびex vivo、in vivo計測により、その有用性を検証する。 (2)-1 三次元広視野『蛍光』顕微鏡の開発:開発事項は全て終了しているので、本年度は、開発した顕微鏡システムを用いて、両機内における共同研究により、様々な生物学的課題におけるシンギュラリティ細胞発見を目指す。 (2)-2 1000nm超蛍光観察技術のレーザーシート顕微鏡の開発:未だ実用的な近赤外蛍光プローブを選定できていない。実用的なプローブの候補探索の範囲を、有機蛍光プローブから、量子ドットやカーボンナノチューブにまで広げる。また、これまでは細胞核内を標識することを想定していたが、低核膜透過性を考慮し、核外膜を標的することで核内輸送の過程を除外する方法も試行する。より具体的には、核内標識と同様に、核外膜標識を可能にするトランスジェニックマウスの構築を行う。
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Research Products
(13 results)