2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
18H05434
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 康紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (90466037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜田 聡 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80301547)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 恐怖記憶 / シナプス可塑性 / コフィリン / 光操作 / 細胞骨格 / 記憶固定化 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプス可塑性の光操作のためのプローブとカルシウム感受性蛍光タンパク質を用い記憶形成の異なったタイミングで、海馬あるいは大脳皮質のシナプス可塑性を消去した。学習後数分以内に海馬で光操作すると記憶が消去されたが1時間経つと消去できなくなった。しかし動物個体が睡眠中に光操作すると記憶が消去された。この時の海馬神経細胞の活動を観察すると、学習後数分以内に特定の文脈に反応する細胞の増加が見られ、これが学習直後のシナプス可塑性の消去により消失した。一方、睡眠中のシナプス可塑性消去は文脈特異性には影響がなかったが、同期発火性を減少させた。これは記憶形成後、異なったタイミングのシナプス可塑性が異なった役割を果たしていることを示唆する。
一方、チャネルロドプシン(ChR2)を用いて恐怖記憶想起中、あるいは想起後の海馬CA1領域や記憶エングラムの活性を光遺伝学的に操作することで、恐怖条件づけ文脈記憶の消去に対する海馬の役割の解析を進め、恐怖記憶消去様の行動変化を誘導する刺激パターンを同定し、その性状の解析を進めた。一方、cAMP情報伝達経路を操作する光プローブを海馬に発現させて恐怖条件づけ文脈記憶に対する影響を解析した結果、この情報伝達経路が記憶想起を正に制御することを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
記憶に関して 想定してた表現型が出ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、海馬と前帯状皮質でシナプス可塑性が起るタイミングが異なっていることを見出した。海馬では学習直後ならびにその直後の睡眠時にシナプス可塑性が起こっていることが必要である一方、前帯状皮質では次の日の睡眠が必要であることがわかった。そこで、本年度はG-CaMP7イメージングを行い、異なった睡眠のタイミングが神経活動にいかなる影響を持つかを観察していく。また、電気生理学的にもAMPA型グルタミン酸受容体のシナプス移行が観察されたため、どの細胞のどのシナプスで起こったかをより詳細に検討していく。
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