2021 Fiscal Year Annual Research Report
Constructive understanding of bipolar disorder and schizophrenia by transomics and modeling
Project Area | Constructive understanding of multi-scale dynamism of neuropsychiatric disorders |
Project/Area Number |
18H05435
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 忠史 順天堂大学, 医学部, 教授 (30214381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 充 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (10613995)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 双極性障害 / 統合失調症 / 視床室傍核 |
Outline of Annual Research Achievements |
二大精神疾患である双極性障害と統合失調症は、いずれもゲノムを基盤として発症し、脳画像研究で脳形態変化が報告されているにもかかわらず、その細胞レベル・神経回路レベルの病態はほとんどわかっていない。盛んに生物学的研究が行われ、様々な仮説が提案されてきたものの、単一の階層に止まり、分子、細胞、神経回路、脳という各階層が乖離したままの状態であるため、その病態は、未だ仮説の域にとどまっていた。本研究では、こうした状況から脱却し、精神科医療のイノベーションにつながる真の原因を明らかにするため、これらの精神疾患を分子、細胞、神経回路から脳に至るマルチスケール現象として捉え、構成的に理解することを試みた。本研究の目的は、患者のゲノム解析から同定した原因遺伝子を元に、遺伝子改変マウスを作成し、脳病態を検討すると共に、iPS細胞を用いて、細胞レベルの病態を検討し、さらに死後脳においた解析を行うことである。双極性障害モデル動物の解析から、候補脳部位として見出した視床室傍核(PVT)を巡る神経回路をシングルセルRNAシーケンスにより解析し、視床室傍核の回路動態の理解を進め、縫線核から視床室傍核に至る神経回路の過剰興奮性が双極性障害の分子病態に関連している可能性を示した。さらに、視床室傍核を過剰に興奮させたモデルマウスを作成し、病態を再構成することにより、視床室傍核の過剰興奮が双極性障害様の行動表現型を引き起こすことを明らかにした。また、患者死後脳において、シングルセルRNAシーケンスを行うため、ブタ脳を用いて、条件検討を行った。また、統合失調症の発症に大きな効果を有するリスク遺伝子のひとつに関して、ゲノム編集によりヘテロノックアウトを生じる変異iPS細胞を作出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画で、ヒト死後脳のRNA sequencingによる遺伝子発現解析を行うことを予定していた。ブレインバンクより、死後脳分与の許可を得て、material transfer agreement(MTA)の締結手続きを開始した。契約締結に半年を見込み、令和3年4月には試料が到着すると見込み、令和3年5月には条件検討を開始し、令和3年度中に実験可能と判断し、令和3年度内に解析を行う予定であったが、コロナ禍により在宅勤務が多かったため、担当者によるMTA締結作業が進まず、再三催促しても進展せず、契約締結に1年近くを要し、令和3年11月にようやく締結作業が終了した。そのため、試料の到着が遅れ、死後脳解析の試薬の予算を繰り越した。しかし、ヒト死後脳試料到着を待つ間に、代替のブタ脳を用いて条件検討を行うこととし、実験を進めたため、ヒト死後脳が到着し次第、遅れを取り戻して、令和4年度内に研究を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
死後脳が到着し次第、実験を行い、解析を進めていく。
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[Journal Article] Systematic analysis of exonic germline and postzygotic de novo mutations in bipolar disorder2021
Author(s)
Nishioka M, Kazuno A, Nakamura T, Sakai N, Hayama T, Fujii K, Matsuo K, Komori A, Ishiwata M, Watanabe Y, Oka T, Matoba N, Kataoka M, Alkanaq AN, Hamanaka K, Tsuboi T, Sengoku T, Ogata K, Iwata N, Ikeda M, Matsumoto N, Kato T, Takata A
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 12
Pages: 3750
DOI
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