2020 Fiscal Year Annual Research Report
Advanced negative muon beam development
Project Area | Toward new frontiers : Encounter and synergy of state-of-the-art astronomical detectors and exotic quantum beams |
Project/Area Number |
18H05464
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三宅 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80209882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 幸則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特別准教授 (00393421)
Patrick Strasser 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (20342834)
原 正憲 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (00334714)
波多野 雄治 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80218487)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
Keywords | 負ミュオン / 冷却 / 非破壊検査 / ミュオン触媒核融合 / ラムザウアータウンゼント効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、トリチウム取り扱いの専門家である富山大学水素同位体科学研究センターの原正憲氏、波多野雄治氏が分担者として新たに加わり、走査負ミュオン顕微鏡の核心部分であるトリチウムを使用したビーム冷却装置の設計を完了させ、毎秒数10個の強度の負ミュオンビームを10μm未満に収束させる目途が立ち、入手、貯蔵、使用、廃棄に関わる具体的なトリチウム使用手順を策定し、トリチウム使用の許可申請の準備を進めたが、12月、J-PARC首脳部により、他の実験の許認可申請との干渉を避けるため、少なくとも今後4年間はトリチウム使用許可の申請を認めない事が決定された。この決定を受け、トリチウムを用いない摩擦冷却を主とする手法へと大きく方針を転換する事となった。新しい手法は、従来は平面形状であった摩擦冷却薄膜の代わりに曲面形状の薄膜を用いることにより、エネルギーの冷却に加え、従来の摩擦冷却手法では出来なかった空間方向のビーム冷却も併せて可能とするものである。トリチウムを使用する方法には及ばないものの、数10μmへの微小収束に向けた装置設計を行った。特に、曲面冷却膜の具体的な製造方法に関して複数の方法を検討し、初段に用い大口径の曲面冷却膜には水面転写法を、終段の精密小口径の曲面冷却膜にはシリコン微細加工プロセスを用いる事が可能との知見を得て、装置製造の準備を進めた。また、トリチウムを使用せず重水素のみを使用したミュオン触媒核融合実験の装置も開発した。これらの開発において、同軸輸送管が負ミュオンを含む低速の荷電粒子を効率的に輸送する事を見出し、国内特許を出願した。負ミュオンビームの高度化の成果としては、人工ミュオンビームによるミュオン透過CTイメージングに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
トリチウムを使用した負ミュオンビームのビーム冷却装置の設計を進め、毎秒10個の負ミュオンビームを直径10μmに収束させる装置の開発に目途が立った。併せてJ-PARC内でのトリチウム許可申請の準備を、J-PARC内の放射線安全の関係者に加え、トリチウム取り扱いの専門家である富山大学水素同位体科学研究センターの原正憲氏、波多野雄治氏の助力も得て進めてきたが、12月、J-PARC首脳部により、J-PARCで進められている他の実験の原子力規制庁への放射線関係の許認可申請との干渉を避けるため、少なくとも今後4年間はトリチウム使用許可の申請を認めない事が決定された。このため、トリチウム使用実験を断念せざるを得なくなり、これまでの準備とは全く異なる摩擦冷却を主体とするビーム冷却技術の開発へと大きく方針転換する事となった。 負ミュオンビームの高度化の成果としては、人工ミュオンビームを用いたミュオン透過によるCTイメージングに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでのトリチウムを用いたミュオン触媒核融合ベースのビーム冷却の手法から、摩擦冷却を主体とする負ミュオンビームの冷却装置の開発へと方針を転換したうえで、分解能が数10μmの走査負ミュオン顕微鏡を実現させる。減速膜による高エネルギー負ミュオンの減速、同軸輸送管を用いた、低速化した負ミュオンの収集、曲面摩擦冷却による負ミュオンビームの冷却を組み合わせ、目標分解能の走査負ミュオン顕微鏡を開発する。トリチウム使用のものに比べ負ミュオンビームの輝度は落ちるものの、走査負ミュオン顕微鏡の原理実証を最優先課題として、研究を進める。曲面冷却膜をどのようにして作成するかが主要な課題となり、最重要要素技術である、湾曲炭素薄膜に関して、水面転写法やシリコン微細加工技術を用いた方法などを組み合わせ、これまでにない新しい摩擦冷却装置を開発する。また、負ミュオンビームの高度化として、負ミュオンビームによる透過イメージング実験も併せて実施する。
|
Research Products
(36 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] X-ray Spectroscopy of Muonic Atoms Isolated in Vacuum with Transition Edge Sensors2020
Author(s)
S. Okada, T. Azuma, D. A. Bennett, …M. Katsuragawa ,N. Kawamura,Y. Kino ,Y. Miyake ,K. M. Morgan,K. Ninomiya ,H. Noda ,G. C. O’Neil , T. Okumura , C. D. Reintsema ,D. R. Schmidt ,K. Shimomura, P. Strasser ,D. S. Swetz , T. Takahashi ,S. Takeda, S. Takeshita, H. Tatsuno , Y. Ueno , J. N. Ullom , S. Watanabe ,S. Yamada
-
Journal Title
Journal of Low Temperature Physics
Volume: 200
Pages: 445~451
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-