2020 Fiscal Year Annual Research Report
植物との力学的アナロジーに学ぶ巨大建築構造システム設計
Project Area | Elucidation of the strategies of mechanical optimization in plants toward the establishment of the bases for sustainable structure system |
Project/Area Number |
18H05486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 健一 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40234041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 天昊 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90845728)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 建築構造 / 細胞 / biomimetics / tensegrity / 重力屈性 / 生長 / 膨圧 / 屈性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度までに以下のテーマの研究を行っている。1.基礎構造への根系の応用、1.1 軸力密度法による根系の形態解析、1.2 地下の根系のネットワークの観察と栄養屈性による制御の可能性の探索、2.建築構造のユニット、モジュールへの応用、2.1 葉の表皮細胞のジグソーパターンの木造継手への応用(熊本大檜垣班)、2.2 癒合、呑み込み現象を利用したハイブリッド建築への応用の探索と挑戦、3.成長する建築構造の探求、3.1 豆苗の重力屈性挙動の力学的観察研究(上田班・渡辺班)、3.2ユーカリの成長力に関する観察研究(上田班・渡辺班・藤原班)、3.3 細胞壁と膨圧による伸長メカニズムの解明と数値シミュレーション(細川・津川班)、3.4 成長する建築の数値シミュレーション(KKE)、3.5 成長する構造の提案:空気膜構造と張力材を組み合わせた成長構造モデルを考案し、基礎的な実験を行い、その性能を確認している。3.6 接ぎ木・癒合技術の建築構造への応用(野田口班):圃場で行っている癒合等実験に対し,セルラーゼの研究を応用し新たな癒合技術に挑戦する。3.7 癒合・呑み込み現象の数値シミュレーション:L システムやエネルギー法則などを応用した数値シミュレーション方法の提案を開始、4. 若手育成のテーマでは、若手の会におけるメンタリング。研究室における植物構造オプトテーマの修士学生との研究。 5.日本建築学会において「シェル・空間構造」セミナー2020『植物の力学的最適化戦略に基づく構造システムの探索: 植物構造オプト』を開催し16名の招待講演、80名以上の参加者があった。 等の研究を実施し、コロナ禍による大きな制約はあったものの、やや遅れ気味に植物学生理学者と建築構造研究者との交流に基づく研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで、下記のような成果が得られており、おおむね順調に進んでいると判断している。 ・応力密度法による根系形状の杭構造への応用:応力密度法を用いて軸力密度を杭の摩擦力と仮定した形状決定解析を行った。論文は建築学会梗概集に掲載された。 ・ジグソーパターンのジョイントへの応用 (桧垣匠):桧垣(熊大)等とミーティングを行った上で、シロイヌナズナ表皮のジグソーパターンの建築ジョイントへの応用に関する可能性について、実際に厚紙にジグソーパターンと、在来工法の蟻継ぎパターンをレーザーカッターにより作成し、簡易引っ張り実験を行った。ジグソーパターンは鎌継ぎより強く蟻継ぎパターンより弱いという結果を得た。 ・2020年日本建築学会大会においてオーガナイズドセッションを企画し15編の論文が集まった。論文は梗概集に掲載されたが、COVID-19感染拡大の影響で建築学会大会そのものが中止となり、OSにおける情報交換は実現しなかった。しかし、建築学会会報で2020年6月号として特集号の形でまとめることができた。また、建築学会シェル・空間構造セミナー2020『植物の力学的最適化戦略に基づく構造システムの探索: 植物構造オプト』を開催した。 ・野田口班と共同で、ユーカリの自己修復に関する研究を開始し、ユーカリの幹に受傷させ、観察を開始した。 ・細川・津川班と共同で、AFMの探針でタマネギ細胞の表面を押し、膨圧の有無による反力の違いから膨圧や細胞壁のヤング係数を同定する研究を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ項目1:スケールを超えて成り立つ原理の抽出と建築構造システム設計への応用 植物の生長時及び屈性時に発揮する力の測定を行い、その力の発揮メカニズムについて調査する。これより植物のもつ力学的最適化戦略について調査し、建築構造への応用に関する可能性を探索する。ユーカリを選定し、中楚(東大)、武藤(東大院生)等と成長力の実際の測定を行う。上田(甲南大)の屈性時挙動の知見と、渡辺(東北大)の水分計測技術と協力して成長時の運動や水分の移動とその際に発揮される力の大きさなどについて協働で研究を進める。上記の観察を進めながら、中楚洋介(東大)、武藤宝(東大院生)等と実際に成長する建築構造システムの可能性について検討を進める。植物細胞の膨圧と成長力の関係について、細川の計測技術と津川の数値解析技術と協働で調査を進める。成長する構造モデルの数値シミュレーションと巨大建築構造設計の適応性に関して、実モデルを提案する と同時に、数値シミュレーションにより細胞分裂の原理による構造の再現から始め、実際の建築構造に適用可能な設計手法などについて探索する。タマネギの細胞に関して、膨圧の有無による剛性変化をAFMの探針を用いて測定し、膨圧やヤング係数を同定する手法を確立する研究を行う。 テーマ項目2:構造デザインへの新たな植物モジュールの応用 圃場において植物の呑み込み現象や癒合現象を活用した新たなハイブリッド材料を開発し、構造デザインへの応用の可能性について検討する。現在育成している中からハイブリッド化が成功した材料に関して構造材料実験を行い力学性状を明らかにする。現在は東京大学の駒場IIキャンパスと柏の葉キャンパスの圃場においてハイブリッド材料の成功を目指して主にユーカリ種を育成している。受傷させたユーカリの自己修復挙動について観察し、オーキシンなどのホルモンの作用についても観察する。
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Research Products
(14 results)