2021 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical biology for controlling ubiquitin function
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
18H05503
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 稔 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 副センター長 (80191617)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 恭光 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (80333342)
PRADIPTA AMBARA 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90631648)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
Keywords | 化合物アレイ / ユビキチンリガーゼ / E3リガンド / UbTACs / ライブラリー合成 / クリック反応 / アジド / アルキン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ケモテクノロジーを駆使して、ユビキチン修飾系を理解し、操作する新たな方法論、すなわちUbTACsやPROTACs等新たなユビキチン化誘導キメラ分子、各種デコーダー分子の相互作用阻害剤、脱ユビキチン化酵素阻害剤等を開拓しようとしている。キメラ分子創製を目的にE3リガーゼの新規リガンドを探索するため、独自技術である化合物アレイを活用する。 2021年度は、膜タンパク質輸送を制御するユビキチンリガーゼであり、K63 鎖を特異的に形成する NEDD4 に結合しユビキチン化活性を増強する化合物を分析したところ、混合物であることが判明し、そのユビキチン化活性を増強する分画を特定した。今後、分画物の構造解析を進める予定である。また、CFTR関連E3リガーゼの化合物アレイスクリーニングから得られたヒット化合物の中から、活性阻害化合物を見出した。アジドとアルキンを用いたキメラ化法を利用し、昨年度はヒストン脱アセチル化酵素HDAC6阻害剤とのキメラ化合物を合成することに成功したので、今年度は新たにSIRT2のキメラ化合物合成を開始した。さらにがん細胞で蓄積する代謝物アクロレインと選択的に反応するアリルアジドを利用して、がん細胞内でカルベンを中間体として生成させ、がん細胞内のタンパク質と共有結合させることが可能になった。これを利用し、がん細胞内で強くユビキチン化を誘導する方法としてE3リガンドを付与することにより代謝物アクロレインを標的としたキメラ化合物の合成にも成功した。また、数万化合物のライブラリーを用いてデコーダー分子の相互作用を阻害する化合物の探索を行い、Rpn10, Rpn13, UFD1のデコーダー阻害剤候補を同定した。さらにスプライシング阻害によって起きるプロテオーム変化の実態を解析した結果、イントロン配列由来の異常タンパク質が液液相分離を起こして凝集体化することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当グループのもつ大規模化合物探索技術と設備を生かし、領域全体のケミカルバイオロジー研究のハブとして機能することが1つの目標である。そのため、多くの研究班との共同研究を進めている。新たなE3リガンドの探索に関しては、NEDD4全長タンパク質を用いたリガンド探索の結果、in vitroでNEDD4のユビキチン化活性を増強する化合物を見出している。また、CFTR関連E3リガーゼおよびプロテアソームタンパク質についても、領域内の計画班員、公募班員と共同でスクリーニングを実施し、ヒット化合物を得ており、その中からCFTR関連E3リガーゼの活性を阻害する化合物も見出している。さらにがん細胞内の様々なタンパク質と結合し、分解するがん治療分子候補としての新しいキメラ化合物を開発した。すなわち、我々がこれまでに報告したがん細胞で特異的に発生するアクロレインとアジドの反応により結合した特定の分子に対して、生体内のタンパク質分解システムを誘導する技術に応用できる可能性を示している。一方、デコーダー相互作用阻害分子の探索については、2分子蛍光補完法を用いた評価系により、UFD1を含む3種類の系で候補化合物を同定した。現時点で、細胞内で有効な化合物の同定には至っていないが、今後スクリーニングを継続することにより、目的の化合物が得られると期待される。また、領域代表の佐伯らがNature誌に報告したプロテアソームの液液相分離に刺激を受けて、スプライシング調節薬Spliceostatin A処理した細胞におけるイントロン配列を含む異常タンパク質の状態を観察したところ、同様に液液相分離を引き起こすとともに凝集体形成に至ることが明らかになった。その結果、ストレス応答が誘導されてmTORC1活性が低下し、異常タンパク質の翻訳を抑制するフィードバック機構の存在が明らかになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
NEDD4結合化合物の探索から偶然得られたNEDD4のユビキチン化活性を増強する化合物は、純品でなく、化学混合物であったため、活性本体の同定を試みる。また、CFTR関連E3リガーゼおよびプロテアソームタンパク質のリガンド候補については、タンパク質との結合活性や酵素活性への影響を評価し、リガンドの絞り込みを行なっていくとともに、CFTR関連E3リガーゼのリガンドは、ERAD誘導剤として機能する可能性があるため、キメラ化合物化を進め、機能評価を行う。必要に応じて、最新技術であるマイクロスケール熱泳動法による新たなリガンド候補化合物探索を実施する。一方、デコーダーの結合を制御する新たな化合物の探索については、確立したGaussiaルシフェラーゼの2分子蛍光補完法を用いた広範なスクリーニングを継続する。得られた候補化合物の容量依存性試験、特異性試験を実施するとともに生理活性の検証を開始する。また、細胞内で発現した特定の脱ユビキチン化酵素活性のみを分泌型ルシフェラーゼの活性として定量的に測定できる方法を新たに開発したので(特許出願予定)、これを用いてUSP8やUSP19阻害剤探索の領域内共同研究を実施する。さらに特定のタンパク質を標的とするPROTACsの概念とは異なり、がん細胞内で非特異的なタンパク質ユビキチン化と分解を誘導することができれば、より効果の高い治療法につながるUbiTACsになると考え、がん細胞内で大量に発現しているアクロレインとフェニルアジド分子が特異的に反応することを利用したタンパク質分解システムを誘導する新規分子を取得した。今後さらにキメラ化合物をデザインし、その効果を検証する。近年、多くの疾患でスプライシング異常が報告されており、イントロン配列を含む異常タンパク質が注目されている。それらの細胞内運命について解析を進める。またリボソーム品質管理機構に作用する化合物についての解析も開始する。
|
Research Products
(37 results)
-
-
[Journal Article] Comparison of “click-to-sense” assay with frozen section analysis using simulated surgical margins in breast cancer patients2022
Author(s)
A. Kubo, T. Tanei, A. R. Pradipta, K. Morimoto, M. Fujii, Y. Sota, T. Miyake, N. Kagara, M. Shimoda, Y. Naoi, Y. Motoyama, E. Morii, K. Tanaka, K. Shimazu
-
Journal Title
Eur. J. Surg. Oncol.
Volume: 48
Pages: 1520-1526
DOI
-
-
[Journal Article] Differential biosynthesis and roles of two ferrichrome-type siderophores, ASP2397/AS2488053 and ferricrocin, in Acremonium persicinum.2022
Author(s)
Yoshiki Asai, Tomoshige Hiratsuka, Miyu Ueda, Yumi Kawamura, Shumpei Asamizu, Hiroyasu Onaka, Manabu Arioka, Shinichi Nishimura, and Minoru Yoshida
-
Journal Title
ACS Chem. Biol.
Volume: 17
Pages: 207_216
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] CSE1L promotes nuclear accumulation of transcriptional coactivator TAZ and enhances invasiveness of human cancer cells.2021
Author(s)
Nagashima S, Maruyama J, Honda K, Kondoh Y, Osada H, Nawa M, Nakahama KI, Ishigami-Yuasa M, Kagechika H, Sugimura H, Iwasa H, Arimoto-Matsuzaki K, Nishina H, Hata Y
-
Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 297
Pages: 100803
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
[Journal Article] Alantolactone is a natural product that potently inhibits YAP1/TAZ through promotion of reactive oxygen species accumulation.2021
Author(s)
Nakatani K, Maehama T, Nishio M, Otani J, Yamaguchi K, Fukumoto M, Hikasa H, Hagiwara S, Nishina H, Mak TW, Honma T, Kondoh Y, Osada H, Yoshida M, Suzuki A
-
Journal Title
Cancer Science
Volume: 112
Pages: 4303-4316
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Pharmacological inhibition of Mint3 attenuates tumour growth, metastasis, and endotoxic shock.2021
Author(s)
Sakamoto T, Fukui Y, Kondoh Y, Honda K, Shimizu T, Hara T, Hayashi T, Saitoh Y, Murakami Y, Inoue J, Kaneko S, Osada H, Seiki M
-
Journal Title
Communications Biology
Volume: 4
Pages: 1165
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
[Journal Article] Mitochondrial complex I inhibitors suppress tumor growth through concomitant acidification of the intra- and extracellular environment.2021
Author(s)
Yoshida J, Ohishi T, Abe H, Ohba S, Inoue H, Usami I, Amemiya M, Oriez R, Sakashita C, Dan S, Sugawara M, Kawaguchi T, Ueno J, Asano Y, Ikeda A, Takamatsu M, Amori G, Kondoh Y, Honda K, Osada H, Noda T, Watanabe T, Shimizu T, Shibasaki M, Kawada M
-
Journal Title
iScience
Volume: 24
Pages: 103497
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
[Journal Article] Improving Measures of Chemical Structural Similarity Using Machine Learning on Chemical-Genetic Interactions2021
Author(s)
Hamid Safizadeh, Scott W. Simpkins, Justin Nelson, Sheena C. Li, Jeff S. Piotrowski, Mami Yoshimura, Yoko Yashiroda, Hiroyuki Hirano, Hiroyuki Osada, Minoru Yoshida, Charles Boone, and Chad L. Myers
-
Journal Title
Journal of chemical information and modeling
Volume: 61
Pages: 4156-4172
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-