2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Chronogenesis: how the mind generates time |
Project/Area Number |
18H05521
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
嶋田 珠巳 明海大学, 外国語学部, 教授 (80565383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 拓央 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (20432734)
浅原 正幸 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, コーパス開発センター, 教授 (80379528)
小林 一郎 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60281440)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 時間 / 時間と言語 / 人工神経回路 / 時間生成学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(i) 人工神経回路の構築:・『現代日本語書き言葉均衡コーパス』『日本語歴史コーパス』に分類語彙表番号情報を付与し、「過去」「現在」「未来」を表現する語彙分布を検証した。また深層学習モデル BERT に基づく文脈化単語埋め込みを用いて「過去」「現在」「未来」を表現する語彙が単語埋め込み空間上でどのように分布するのかを検討した。・BCCWJ-TimeBankコーパスを用いて、日本語新聞記事の中に現れる4つの事象関係に対して時間関係を識別する深層学習モデルを構築した。使用する埋め込みベクトルとしてfastTextとBERTを用いたが、文の依存構造を反映して入力単語を選択した手法を用いる設定において、ベースラインとなる先行研究の精度を超えた。 (ii) 時間表現の言語学的分析:・時間意味がどのようにして発生するのか、日本語の談話を中心として検討した。・時間語彙を整理し、意味変化について類型論的観点から考察した。・これらの考察と「時間言語フォーラム」の成果を編著『時間と言語』としてまとめた。 (iii) 時間表現の哲学的分析:エピソード様記憶の概念をめぐる錯綜した現況を整理して、言語報告に依らない検証可能性を備えた、そのミニマルな再定式化を行なった。さらに、エピソード記憶がもつ五つの特徴を洗い出すことで、エピソード記憶の成立にとって言語が果たす役割を、出来事トークンの指示能力の観点から明らかにした。このほか、自由意志論の領域で、「開始」や「決定」という表現における時間性・因果性の分析を行なった。 (iv) 他班との連携研究:・B01班が進めている DVD 視聴時の脳活動データの分析に必要な言語資源の構築を進めた。・D01班が構築している「過去」「将来」を主題とした作文データに対する形態論情報付与作業を行った。・D01班と連携して子どもの発話データに基づいて時間概念の発達を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工回路の構築作業が順調に進んでおり、研究成果の発表、公刊、時間言語フォーラムの実施などにより研究が積み重ねられている。
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Strategy for Future Research Activity |
深層学習モデルによって抽出された時間識別のための潜在ベクトルと脳活動との回帰モデルを構築することにより、自然言語刺激による脳活動において、時間情報を捉えている脳内部位を特定することを行う。時間言語フォーラ ムを活用して分野間の交流をはかりながら、さらに研究を重ねる。
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