2019 Fiscal Year Annual Research Report
Generation and Collapse of Time Processing and its Emotional Value
Project Area | Chronogenesis: how the mind generates time |
Project/Area Number |
18H05525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池谷 裕二 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (10302613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 茂義 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20589395)
梅田 聡 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90317272)
河村 満 昭和大学, 医学部, 名誉教授 (20161375)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 時間 / アルツハイマー型認知症 / パーキンソン病 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳で認識される時間情報がどのように神経細胞で表現され、またそれが環境や状況に応じてどのように変化したり崩壊したりするのかを解明するため、げっ歯類動物での行動神経生理学的アプローチにより研究を進めている。とくに、数秒から数十秒の時間知覚であるインターバル計時に着目し、神経細胞による時間経過情報の表象・変容に注目した研究を進めてきた。 ヒトの研究では、1) 精神疾患(うつおよび不安)における思考の時間的方向性の特徴を調べる実験を実施した。自己と他者を行為者とする条件を設定した上で思考の未来性と時間感覚の関係性について調べ、自己に関する処理の特殊性をあぶり出すことができた。また、2) うつ病患者における未来思考が努力性であることを確認し、認知行動療法を受けた後に、それが改善される際の神経基盤をMRIを用いて調べ、症状改善の度合いが前頭極の認知処理と深く関連することを明らかにした。さらに、3) 楔前部を含む頭頂葉内側部の記憶機能について、それが認知症進行のバイオマーカーであるアミロイドβおよびタウ蛋白の蓄積量とどのような関連があるかを調べる研究を進めた。その第一段階として、安静時fMRIの時間変動解析の結果、楔前部の活動が記憶の反応カテゴリーと強い関連があることなどが明らかになった。またアルツハイマー型認知症および発達障害を対象とし、臨床神経心理学の研究手法を用いてこころの時間の解明を目指すなかで、今年度は(A)自閉症の時間知覚の特徴、(B)アルツハイマー型認知症における時間判断課題の傾向、および(C)時間産出・時間再現課題と脳血流の指標であるSPECT値の関連の3点について検討を行った。以下3点の研究成果が得られており、研究は滞りなく進捗している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下3点の研究成果が得られており、研究は滞りなく進捗している。(A)自閉症は時間・空間を短く見積もること、また細部に注目する度合いが強い自閉症者ほど時間・空間の見積もりが短い。(B)アルツハイマー病では時間見当識・場所見当識障害があるほど、課題文の時間判断を誤ることが多い。(C)「10~30秒という短い時間を数える」という簡便な手法で認知症の症状の一つである海馬の血流量の低下を予測できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度には、令和元年度に得られた基礎研究の知見をさらに掘り下げて進めていく。具体的には、アルツハイマー型認知症における脳血流と時間判断課題の関連や、アイトラッカーを用いた出来事に関する記憶についての検討を行う。また応用研究の実践として、パーキンソン病患者の時間感覚を改善することで、その他の認知機能の波及効果についても検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)