2018 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of in vitro oogenesis with high integrity
Project Area | Ensuring integrity in gametogenesis |
Project/Area Number |
18H05547
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
尾畑 やよい 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (70312907)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 卵子 / 卵子形成 / 発生能 / エピジェネティクス / 卵胞形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)in vitroで産生された卵子の脆弱性の原因解明:2018年度は、single cell RNA-seqの実験系を確立した。前段研究として、in vitro由来卵子から作出された2細胞期胚(n=5)とin vivo由来卵子から作出された2細胞期胚(n=10)のそれぞれのトランスクリプトームを比較した。その結果、513遺伝子に有意な発現変動が認められ、胚性ゲノムの活性化に関与する遺伝子などが含まれた。また、階層的クラスタリング解析では、in vitro区とin vivo区の胚が明確に異なるクラスターを形成することがわかった。 2)in vitroで産生された卵子の発生支持能の非破壊的予見:2018年度は、マウス2細胞期胚をMeta-Spectral-imaging法に供試し、観察後に回収することが可能なデバイスを作製した。このデバイスを用いて2細胞期胚を観察し、観察を行わなかった2細胞期胚と同等に、胚盤胞およびマウス個体へ発生するレーザー強度の条件も決定した。なお、このレーザー強度の条件で、in vivoかin vitroかの由来によらず胚の発生能を損なわないこと、さらに5枚のZ-スタック観察を行っても胚の発生能を損なわないことを確認した。 3)in vitro卵子産生系を用いた卵子(卵胞)形成機構の理解:2018年度は、卵胞形成時、生体内においてエストロジェンシグナルを制御しうる候補因子を同定した。FBS添加培地でマウス胎仔卵巣をに培養すると、エストロジェンシグナルが活性化され卵胞形成が異常になるが、マウス胎仔で発現している候補因子の精製物をFBS添加培地に加えると、二次卵胞が形成されることを突止めた。さらに、エストロジェンで活性化されるマーカー遺伝子の発現も大幅に下方修正されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
single cell RNA-seqの前段解析において、各胚の全トランスクリプトームの相関を比較するとin vivoおよびin vitro由来卵子から作出された2細胞期胚は、両者間で顕著な差異として示された。また、高いインテグリティーを有するin vivo由来卵子間においてもトランスクリプトームの差は認められたが、この差はインテグリティーに影響しないと考えられるため、これらを考慮してフィルタリング設定を行った。その結果、胚性ゲノムの活性化に影響する遺伝子などが実際に抽出され、インテグリティーに影響する遺伝子群の絞り込みが可能であると判断された。また、実際の研究では、2細胞期胚の片割球を発生能解析に片割球をsingle cell RNA-seq解析に供試するが、in vivoおよびin vitro由来2細胞期胚のいずれにおいても、同一胚に由来する各割球の発生能はほぼ等しいことが確認できた。前段研究で、概ね、方法論を確立できたと考えている。 卵子の発生支持能の非破壊的予見については、研究費の前倒し申請により研究器材を購入し、申請者の所属機関でもMeta-Spectral-imaging解析が可能となった。これにより正しい予見につながることが期待できる。 卵胞形成時のエストロジェンシグナル制御に寄与する内因性の候補因子については、当該因子をコードする遺伝子のヘテロ欠損マウスの繁殖を行っており、ホモ型欠損マウスの作製に向けて個体数を順当に増やしている。生体内における候補因子の機能解析は、準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1)in vitroで産生された卵子の脆弱性の原因解明:生体由来の卵および二次卵胞の成長・成熟培養で産生された卵それぞれをIVFし2細胞期胚を作出する。前年度までに、in vitroおよび生体由来の2細胞期胚では、それぞれ、発生(卵割)スピードが異なることが示唆された。そこでタイムラプスシステムを導入し、卵割時間を特定した上で、RNA-seq解析へ供試する。それぞれ25個の2細胞期胚を供試し、片割球をシングルセルRNA-seq解析に片割球を発生能解析に供試する。各割球の発生能とそれぞれの遺伝子発現プロファイルを比較し、mRNAの差を比較することでin vitroで産生された卵子の脆弱性の原因と推定される遺伝子や異常な経路、発生能を持つ胚の特徴について抽出する。さらに、生体由来のGV期卵子および二次卵胞の成長で産生されたGV期卵子のRNA-seq解析を実施し母性因子の差についても抽出する。 2)in vitroで産生された卵子の発生支持能の非破壊的予見:生体由来のM II期卵子および二次卵胞の成長・成熟培養で産生されたM II期卵子それぞれをIVFし2細胞期胚を作出する。Meta-Spectral-imaging法にM II期卵子および2細胞期胚を供試し、得られた自家蛍光パターンと受精能および発生能を機械学習し、発生支持能を非破壊的に予見するための情報を集積していく。 3)in vitro卵子産生系を用いた卵子(卵胞)形成機構の理解:卵胞形成時のエストロジェンシグナル制御に寄与する内因性の候補因子を欠損したマウスを作製し、卵子形成および卵胞形成を継時的に解析していく。
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Research Products
(8 results)