2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046002
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 和巳 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20308133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀋 俊毅 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (10432460)
芹澤 成弘 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90252717)
大和 毅彦 東京工業大学, 社会理工学研究所, 教授 (90246778)
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Project Period (FY) |
2007-07-25 – 2013-03-31
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Keywords | 実験 / 社会関係資本 / メカニズムデザイン / 国際比較 / 最小努力ゲーム / 信頼ゲーム |
Research Abstract |
平成24年度においても、社会関係資本に関する実験研究を、国際比較、メカニズムデザイン論を視野に入れつつ実行した。以下得られた知見のうち主なもののみを挙げておく。 (1)協調関係の形成に失敗する一つの典型例は、協調ゲームにおける協調の失敗として知られている状況である。われわれは、構成員の匿名性を維持し、利害関係を大幅に変化させるような外部装置を用いずに、最小努力ゲームおいて、三つの仕組み(段階的変化、内生性、目標値調整)が高協力を形成・維持するのに大きな効果をもつことを理論的・実験的に示した。 (2)中国の経済発展状況が異なる上海・成都・寧夏・香港で公共財実験・信頼ゲーム実験などを行って、経済発展のレベルが被験者の信頼や協調行動に与える影響を検証した。主な結果として、まず、経済発展のレベルと協調行動の間にU宇型の関係を発見した。次に、レベルが高い信頼行動は高協調行為と強い相関があることが分かった。最後に、中国の被験者においては、女性と比べて男性のほうが信頼や協調の度合いが高いことも分かった。 (3)相対取引交渉を行う実験において、一人で取引を行う場合と二人グループを形成して取引を行う場合について、中国で経済的発展度の違う地域の出身者の行動を比較分析する研究を行った。通常の経済理論は、個人で取引を行う場合と、家計・企業など複数の人々でグループを形成し協力してグループ単位で取引を行う場合を区別せず、同じ均衡結果を予想し、効率性の観点からは違いはないと考えている。他方、人々の協調行動の活発化をうながす社会組織の形成が、社会の効率性を向上させるという社会関係資本論からは、個人で行動するケースとグループ単位で行動するケースで結果の相違があると考えられる。上海での実験では、全般的に、一人で取引を行う場合よりも、二人グループで取引を行う場合の方が、効率的な均衡結果が実現されやすいことを観察した。
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Research Products
(9 results)