Research Abstract |
今年度は,実験経済学の理論モデル構築,およびカリフォルニア工科大学とイェール大学の研究者との共同研究体制の基盤整備を行なった.具体的には,まず理論の研究会を開催し,組織間競争のモデリングについて検討した.続いて,ビジネスゲームの研究会を開催してパイロット実験を行ない,求められている組織間競争のモデリングが既存のビジネスゲームにどの程度組み込まれているかについて討議した.実験のためのプログラム構築法については専門家を研究会に招いて知識の提供をお願いした.組織間競争の理論モデルの設定については興味深い問題がいくつも見つかったが,理論モデル化と,かつ精度の高い実験結果が得られるよう理論とパイロット実験との相互のフィードバックは継続中である.特に,カリフォルニア工科大学の研究者と共同研究に向け,適宜理論モデル化と実験設計について意見交換を継続している.その一方実験環境の整備については,イェール大学の研究者を神戸大学に招聘し,実験の設計に関する知識提供および,神戸大学のコンピューターシステムを実験の一基盤としていかに整備するべきかについて指導助言をお願いした.これら個別の作業が年度内に行なわれたが,いずれも進行中であるので,次年度も継続したい.なお本年度は,研究分担者が実験研究をできれば今後の実験社会科学の普及と教育にも生かしたいと考えたため,神戸大学の他部局および他大学の研究者との研究交流を積極的に行なった.その結果,実験のプログラムと機械環境を整備することで,他の社会科学分野の研究協力者の採用が可能であることが判明した.また少人数ではあるが,専攻が経済理論でも実験経済学でもない大学院生が研究会に参加した.来年度以降も,幅広い研究交流を継続し,理論と実験の間を行き来することの意義をアピールすることで,実験社会科学の普及と教育へも微力ながら貢献できればと考える.
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