2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046005
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 教授 (80158089)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 由紀子 京都大学, 心の未来研究センター, 助教 (60411831)
石井 敬子 北海道大学, 社会科学実験研究センター, 助教 (10344532)
|
Keywords | 文化 / 制度 / 均衡 / 認知 / 信念 / 適応 / 進化 / 集団 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の適応行動が適応環境(=人々の行動パターンの分布により生み出される誘因構造としての「制度」)そのものを生み出し、その結果自己維持的な信念体系であると同時に誘因構造でもある「制度」を形成するとする「制度アプローチ」を心の文化差の説明に適応することを通して、人間の心と社会の相互構築関係の解明をめざすことにある。こうした目的の達成に向け、本年度には一連の実験研究を進めるとともに、「文化と心の社会性」に関するシンポジューム(ソウル)、アジア社会心理学会(ニューデリー)等で研究成果発表のためのシンポジュームを開催した。本年度の主要な研究成果は以下の7点にまとめられる。(1)一般的信頼が社会的知性と関連していることを、実験ゲームでの行動を実験参加者のビデオ画像から判断する実験により明らかにした。(2)免責ゲームにおける不公平提案拒否行動が、これまでの最後通告ゲーム研究で考えられていたような不公正回避選好によってではなく、感情を通したコミットメント戦略として理解できることを、一連の行動実験及び脳活動撮像実験により明らかにした。(3)協力行動の背後に人々の表情がシグナルとして働いていることを、実験参加者の表情の詳細な分析により明らかにした。(4)社会的公正を維持するための行動に心の理論が必要であることを、幼児の経済行動実験を通して明らかにした。(5)これまで選好の文化差として理解されていた行動を、特定の制度へのデフォルト適応戦略として理解可能であることを、一連の実験研究により明らかにした。(7)中国人と日本人の間の信頼の差を、信頼行動の持つシグナリングの意味の違いとして理解できる可能性を明らかにした。
|
Research Products
(41 results)