2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 北海道大学, 大学院・文学研究科, 特任教授 (80158089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 由紀子 京都大学, こころの未来研究センター, 准教授 (60411831)
石井 敬子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (10344532)
清成 透子 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (60555176)
品田 瑞穂 北海道大学, 社会科学実験研究センター, 助教 (70578757)
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Keywords | 文化 / 制度 / 均衡 / 進化 / 認知 / 信念 / 適応 / 集団 |
Research Abstract |
本年度は(1)認知・信念システムの文化差に関する研究、(2)集団行動の適応的基盤に関する研究、(3)社会行動の制度的基盤に関する研究のそれぞれにおいて、これまでの研究成果の蓄積に新たな知見を加えると同時に、これまで蓄積された研究成果にもとづく理論的展開を進めた。特に重要なのは(1)のテーマと(3)のテーマを統合する形での理論形成と実証研究を進めた点である。具体的には、日本人参加者は独立的な人間に対して他者が非好意的な反応を示すであろうと予想するため、自分自身独立的な行動を取ることを控えるだけではなく、独立的な行動を取る人間に対して好意的に対応することも控える傾向があることが示されると同時に、いわゆる日本人の"協調性"には他者との協力を求める側面と、他者からの排除を避けようとする側面が含まれており、日米で差が見られるのは後者の側面だけであることを示す日米比較研究の結果が得られている。これらの結果は、文化特定的行動を、人々の行動が生み出す社会的ニッチへの適応行動として理解する文化への制度アプローチと一貫する結果であり、本研究の中心となる当アプローチの有効性を示す結果である。(2)のテーマに関しては、先制攻撃ゲームを最小条件集団間で実施した結果、女性参加者に限って、対戦相手が自集団であれ他集団であれ、集団が関連することによって先制攻撃が大幅に抑制されることが明らかにされた。この結果の理論的含意については現在検討中である。また、社会的リスク回避傾向を測定するための新たに開発された方法を用いた研究を実施し、社会的リスク回避傾向と向社会的な価値志向性との関連について、特に協力行動の生起にさいしてこれら二つの要因がどのように影響を及ぼすかという点に着目した分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、心を人々の行動が生み出す社会的ニッチへの適応の道具として理解するアプローチを心の文化差の説明に適応することを通して、人間の心と社会の相互構築関係の解明をめざすことにあるが、この「文化に対する制度アプローチ」の確立に向けて、一方では心の働きの文化差に関する研究成果を着実に蓄積すると同時に、理論的な展開を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究推進のための基本方針は、これまでの研究成果をとりまとめるかたちで、心理科学者のみではなく社会科学者一般向けた著作を刊行するとともに、今後の新たな研究発展のための方向を確立することにある。
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[Presentation] Greed and fear revisited2011
Author(s)
T.Yamagishi
Organizer
International Conference on Social Dilemmas
Place of Presentation
Felix Meritis, Amsterdam, (the Netherlands)(招待講演)(基調報告)
Year and Date
2011-07-06
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