2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Experimental Social Sciences: Toward Experimentally-based New Social Sciences for the 21st Century |
Project/Area Number |
19046006
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
亀田 達也 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20214554)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 伸幸 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80333582)
中丸 麻由子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 准教授 (70324332)
神保 信人 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30296298)
|
Keywords | 集団 / 規範 / 感情 / 一般互恵性 / 協力 / 進化ゲーム理論 / 実験 |
Research Abstract |
本年度は、集団における協同状況をproducer-scrounger gameとして定式化した場合、協力行動がどのようなプロセスにより生じるかについて、社会的ジレンマと比較する形で実証的に検討した。社会的ジレンマ場面で広範に観察される「条件的協力行動」(他者が協力すれば自分も協力するという行動傾向)とは異なり、producer-scrounger gameでは、(1)「他者が協力する場合には自分は非協力に転じる」という正反対の行動傾向が安定して観察され、(2)集団内における協力-非協力は「社会的価値オリエンテーション(SVO)」などの持続的性格特性によっては予測できないことが明らかになった。この結果は、相互依存構造の違いに応じて、異なる協力規範が発動することを示しており、集団協同場面を社会的ジレンマと等価のものと見なしてきた先行研究に見直しを迫るものである。本計画のもう1つの柱である一般互恵性の成立メカニズムに関する検討では、規範逸脱に対するサンクション行動の適応基盤に関するモデル構築と、サンクション行動の心理的基盤についての実験的検証を行った。進化シミュレーションやアダプティブダイナミクスを用いた理論的解析から、(1)メンバー問の相互作用が安定しない場合には、段階的罰(相手の協力レベルが低いほど罰の強度を上げ、協力レベルが上がるとともに罰強度を下げていくという方法)が協力の進化を促進するが、(2)同じ相手と相互作用を継続しやすい状況では、閾値を境に協力レベルが高いと強い高い罰を与えるが、閾値以下では全く罰を与えないという罰の方法が協力の進化を促進することが示された。実験的検討からは、概念的に同一のサンクションメカニズムとして捉えられる「賞」と「罰」が心理的には異なるメカニズムによって支えられていること、サンクション行使においてはリーダーシップが重要な機能を担うことなどの知見が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特定領域の他の班との連携を含め、ほぼ予定通りの研究が展開されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定に従い、他の研究班と連携しながら、研究課題を着実に実行していく。
|
Research Products
(20 results)