2007 Fiscal Year Annual Research Report
ハーフメタル系材料を用いた高効率スピン源の探索と創出
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 眞史 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (10322835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植村 哲也 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (20344476)
松田 健一 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (80360931)
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Keywords | スピン源 / ハーフメタル / ホイスラー合金 / スピントロニクス / スピン偏極率 |
Research Abstract |
本研究では、オリジナルの技術であるハーフメタル系ホイスラー合金(Co_2YZ)薄膜とMgOバリアを組み合わせた単結晶エピタキシャルヘテロ構造を技術の核として、Co_2YZ物質群を広く探索し、強磁性体あるいは半導体に対する高効率スピン源を創出することを目的としている。さらに、スピン源として活用するためには、強磁性体単独ではなく、異種材料とのヘテロ構造が必須となる。今年度は、このよう観点に基づき、Co_2YZ/MgOヘテロ構造を用いた強磁性トンネル接合(MTJ)を具体的な検討対象として、試作評価を行い、以下の成果を得た。 ホイスラー合金の一つであり、キュリー温度が985Kと室温よりはるかに高く、かつ、理論的にハーフメタル特性が予測されているCo_2MnSi(CMS)を下部および上部電極に用いた、CMS/MgO/CMSMTJを製作し、すべての層がエピタキシャル構造からなり、かつ、界面の急峻性と平坦性に優れたMTJを実現した。また、上部CMS電極を室温で堆積後に、550℃から600℃の範囲でin situのアニールを行うことが高いTMR比を得る上で重要であることを明らかにした。この結果、TMR比として、室温で179%、4.2Kにおいて683%の高いTMR比を実証した。これらの値は、本研究グループが2006年度に報告したCMS/MgO/CoFe MTJに対するTMR比、室温で90%、4.2Kで192%の値をはるかに超えるものである。本年度の結果はCo_2MnSiの高いスピン偏極率を、デバイス応用に必要とされるヘテロ構造の中で実証したものである。これによって、Co_2YZ薄膜をMgOバリアと組み合わせたエピタキシャルヘテロ構造の中で用いる技術が、ヘテロ界面における優れたスピン依存電子構造を実現する上で有用であることを明らかにした。
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