2007 Fiscal Year Annual Research Report
スピン軌道相互作用を用いたスピン流の電気的な検出と制御
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新田 淳作 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (00393778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
好田 誠 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00420000)
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Keywords | スピン軌道相互作用 / スピン制御 / スピン検出 / スピン流 / スピン干渉 / メゾスコピックリング構造 |
Research Abstract |
メゾスコピックリング構造におけるスピン干渉効果とスピンホール効果を組み合わせたスピン流の電気的検出を目指し、メゾスコピックリング構造の最適化とスピン干渉効果の電気的検出を行った。InGaAs2次元電子ガス(2DEG)を50×50列のリング配列構造に微細加工し低温における磁気輸送測定を行った。ゼロ磁場付近において周期的な抵抗振動が観測され、高速フーリエ変換による振動周期解析からリング周に沿った軌道に起因するAl'tshuler-Aronov-Spivak(AAS)振動であることが明らかとなった。さらにゲート電圧依存性を調べると、ゲート電圧増大と共にゼロ磁場におけるAAS振動の抵抗が周期的に振動することが明らかとなった。ゼロ磁場での抵抗振動はスピン軌道相互作用に起因した内部有効磁場によるスピン位相変化を示す。このことからスピン歳差運動のゲート電界制御が実現されていることが明らかとなった。 スピン流を生成・制御するためにより大きなスピン軌道相互作用を半導体2DEGで実現する必要がある。2DEGにおけるスピン軌道相互作用は、井戸内部の電界に起因するField項とヘテロ接合界面におけるInterface項に起因し、波動関数によりこれらの寄与が重み付けされる。そこでより大きなスピン軌道相互作用を生成するため、バンドエンジニアリングによりヘテロ接合界面上に波動関数が分布するInAlAs/InGaAs 2DEGを設計し、スピン軌道相互作用の電界制御を行った。その結果、ヘテロ接合が無い構造と比較し約2倍スピン軌道相互作用パラメータαが増大することが明らかとなり、内部電界のみならず波動関数エンジニアリングがスピン軌道相互作用の制御に重要な役割を果たすことを示した。
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