Research Abstract |
・Coをドープしたアナターゼ型TiO2におけるCo原子の局所的磁性を軟X線磁気円二色性測定により明らかにした.ルチル型TiO2に比べて大きな磁化と高いキューリー温度が観測され,高いキャリアー濃度を反映していると解釈した. ・ホイスラー合金(Co2MnSiおよびCo2MnGe)とMgOからなる磁気トンネル結合の界面における磁性を,金属膜厚依存性,組成依存性,温度依存性に着目して軟X線磁気円二色性で調べた.金属膜厚の減少あるいはCo濃度の増加とともにCo原子のスピン磁気モーメントが増加し,Coアンチサイト欠陥がCo原子のスピン磁気モーメントを増加させるという理論計算と対応する結果が得られた.逆に,Mn濃度の増加とともにMnのスピン磁気モーメントが増加した.温度上昇とともに,Co, Mnのスピン磁気モーメントがともに減少したが,減少はわずかであり,温度上昇に伴う磁気トンネル抵抗比の急激な減少を説明する物ではなかった。 ・ZnOに2種類の遷移金属元素を同時ドープした試料について,軟X線吸収分光,軟X線磁気円二色性の測定を行なった.Co,Mn同時ドープ系では強磁性は観測されなかったが,Co,MnがZnO薄膜で見られる2価ばかりでなく,3価,4価も多量に観測された.Co,Fe同時ドープ試料は強磁性が観測された.Feは3価が主で,Coは2価,3価,4価のすべてが観測された,軟X線磁気円二色性強度の磁場依存性から,Co,Fe同時ドープ試料で強磁性を担うのはFe原子のみであることがわかった. ・SPring-8 BL235Uにおいて,Gal-xMnxAsのアニール前後の試料での比較,高濃度ドープ試料の状態をXMCDを用いて調べた.キッカーマグネットによる1Hz連続円偏光スイッチングが可能になり,特定の光エネルギーに対するXMCDシグナルが得られるよう装置を整備しっつある. ・新しく開発された軟X線共鳴散乱装置を用いて遷移金属の2p-3dのXMCDを利用した構造と磁性の同時決定実験を効率的に行なうため,測定ソフトウェアの開発を進めた.
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