2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 義近 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (60245610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 崇 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特任教授 (80360535)
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Keywords | スピン注入 / スピン蓄積 / スピン起動相互作用 / スピン流 |
Research Abstract |
スピン依存伝導を駆動原理とするスピントロニクス素子の開発には、スピン流の生成、輸送、操作、蓄積、そして検出する手法を確立することが必要不可欠である。本研究課題ではその第一の過程であるスピン流の生成に着目した研究を遂行している。 平成20年度は、強磁性金属を用いない新規なスピン流生成法の一つとして着目されているスピンホール効果について集中的に研究した。スピンホール効果の起源はスピン軌道相互作用であり、強いスピン軌道相互作用を示す4d, 5d遷移金属はスピンホール効果研究の候補物質である。これらの物質のスピンホール効果を効率的に検出するための電気的手法を確立し、室温において巨大なスピンホール効果の観測に成功した。また、系統的な物質依存性の実験から、内因性スピンホール効果を示唆する結果も得た。さらに、非磁性細線中の蓄積スピンの量子化軸(スピン偏極ベクトル)方向の制御法として、多端子スピン注入による蓄積スピン偏極ベクトルの電気的制御法を確立した。更に、超伝導体中のスピン流緩和過程に関する知見も得た。 このように、研究はスピンホール効果の発現機構解明に向けて順調に進んでおり、その他にも、単結晶の白金細線を用いた実験特に素子作製の最適化に着手した。また、CuIrなどの合金における、スキュー散乱を積極的に用いた系でのスピンホール効果の測定も行い、より大きなスピンホール角を有する物質の探索を開始した。
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