2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 義近 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (60245610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 崇 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (80360535)
石川 潔 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (00212837)
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Keywords | スピン注入 / スピン蓄積 / スピン軌道相互作用 / スピン流 |
Research Abstract |
スピン依存伝導を駆動原理とするスピントロニクス素子の開発には、スピン流の生成、輸送、操作、蓄積、そして検出する手法を確立することが必要不可欠である。本研究課題ではその第一の過程であるスピン流の生成に着目した研究を遂行している。そのために、平成21年度は以下の3つのテーマに関して研究を遂行したのでそれぞれの成果を纏める。 1.多結晶遷移金属の膜品質向上とスピンホール伝導率の電気伝導率依存性 計画通りスパッタ膜のリフトオフ法をより最適化することにより、高品質な遷移金属細線の作製が可能となった。得られた結果から、4d-5d多結晶遷移金属のスピンホール伝導度が、理論予測されていたようにフントの第3則を満たすことを実験的に示すことに成功し、スピンホール効果増大のための指針を得ることができた。 2.CuIr薄膜における共鳴スキュー散乱を用いた外因的スピンホール効果の研究 IrがCuホスト金属中に不純物ポテンシャルを形成することにより生じる共鳴スキュー散乱から発現する外因的スピンホール効果の観測に成功した。現在、最終年度に向けて更に詳細な実験を進め、不純物濃度とスピンホール角の相関の解明を目指している。 4.新規なスピン注入法の開発 表面積の大きなランダム散乱媒質に束縛された原子を光ポンピングし、微小空間中の気体にスピン流を誘起した。ランダム偏光による励起であっても磁場の印加により、表面近傍で光の角運動量が気体原子に移ることを発見し、その結果、スピン流を効率よく固体に注入することができた。固体のアルカリ塩は、熱平衡状態に比べ80倍の核スピン偏極率を得た。
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