2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永長 直人 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (60164406)
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Keywords | 強相関電子系 / スピンダイナミックス / 光励起 |
Research Abstract |
スピンと電子の結合系の動的側面について、以下の成果を得た。 1.電子系は量子力学的な時間発展を行い、スピン系は古典的な運動方程式に従う2重交換模型で、数値シミュレーションを行い、光励起によって絶縁体・金属転移が起こる様子をとらえることに成功した。絶縁体の反強磁性スピン配置が、電子系によって乱されはじめ、それによってギャップ内電子状態が発生し、これが雪崩現象的に起きる様子があきらかとなった。また、光励起状態に電場を印加し、フォトカレントが自発的に空間分布を持つことを見出した。 2.マルチフェロイックマンガン酸化物スパイラル磁性体のミクロなスピン模型の光学応答の数値シミュレーションを行った。スピン模型として相図を再現するように、スピン軌道相互作用、磁気異方性などを含む詳細なものを採用することで、従来謎であったマグノンの線形応答の光学スペクトルの実験、特に低エネルギー側のピーク構造をほぼ完全に再現することに成功した。これに基づき、中性子散乱スペクトルを予言し、実験の提案を行った。また、強励起効果として、光誘起磁気構造変化を見出した。 3.2次元トポロジカル絶縁体のエッジモード2つの間に電子間相互作用が働いたときに、新しい1次元量子液体状態が現れることを見出した。これは、「電子分裂」した状態に電子間相互作用が、「糊」として働いたときに、分裂する前とは全く異なった状態が実現することを示した最初の例である。また、3次元トポロジカル絶縁体の上に張り付けた強磁性体の磁化ダイナミックスを支配する運動方程式の導出を行った。これを用いて強磁性共鳴の解析を行い、従来にない数多くの特徴を見出した。
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Research Products
(12 results)