2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
19048021
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
仲谷 栄伸 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (20207814)
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Keywords | スピン流 / 磁化反転 |
Research Abstract |
近年スピン電流による磁化操作として、円盤状の磁気ディスク(磁気ドット)内に現れる磁気渦構造の運動に関する研究報告が盛んに行われている。本研究の代表者はこれまでに計算機シミュレーションを用いて、スピン電流による磁気渦コアの螺旋運動や共振運動、さらに磁気渦コアの反転の研究を行い、これらの現象を用いた新たなデバイスの可能性を示した。シミュレーション結果は実験結果と定量的に一致する場合だけではなく、定性的には一致するが定量的に一致しないものもあり問題となっていた。特にスピン電流によって作られる電流磁界の効果については、現在も議論が行われている。また本現象を利用したデバイスの実現のためには、反転後も磁気渦構造が安定に存在する条件を調べる必要がある。本研究では今年度渦コアの回転運動における電流磁界の効果と、渦コアの反転を利用したデバイスの動作条件について、シミュレーションを用いて調べた。電流磁界効果については、従来は電流に直交する磁界成分のみが議論の対照となっていたが、この磁界成分の効果はそれ以外の磁界成分の効果によって相殺されるために、すべての成分の効果について調べる必要があることを示した。また磁気ドットに現れる電流磁界はドット内で複雑に分布しているために渦コアの回転半径、すなわち電流密度によって電流磁界の効果は変化するが、最大でも10%程度であることを示した。次に、磁気ドットの直径と厚さを変化させてシミュレーションを行い、デバイス動作の安定条件を調べた。磁気ドットサイズが非常に小さな領域では渦構造が出現せずに単磁区構造が出現することが知られていたが、磁気渦が安定に出現する領域の中にいずれの構造も安定に出現する領域があることを示した。この中間領域では、コア反転の際に磁化構造が変わってしまい、その後もとの渦状態に戻らないため、デバイスとして安定動作できない領域であることを示した。
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Research Products
(4 results)